甚大な被害が出た7月豪雨から7月で5年です。
当時、川が氾濫した大分県日田市天瀬町の温泉街では復興が進む一方、いまなお先が見えない不安を抱えている人もいます。
取材しました。
2020年7月に県内を襲った豪雨。日田市と由布市であわせて6人が亡くなりました。
当時、大きな被害が出たのが日田市の天ヶ瀬温泉街です。玖珠川が氾濫し120棟以上が浸水、女性1人が濁流にのまれ犠牲になりました。
◆TOS渡辺一平記者
「5年前の豪雨で橋が流された場所には新たな橋が架けられ復興が進んでいるが、 河川の改修工事の影響で立ち退きの対象となっている人たちもいる」
玖珠川について県は防災力を高めるため大規模な改修計画に取り組んでいます。
計画では川幅を最大12メートル広げ川底をおよそ1メートル深くします。それにより川の水量がおよそ2倍になっても氾濫しないということです。
2031年ごろまでの工事完了を目指していますが、28軒の住宅や旅館などが立ち退きの対象となっています。
◆なかの理美容室 中野邦彦さん
「ここが移転の対象、立ち退きの対象になったという話が来ただけ。いろいろちょっと、悩ましい」
立ち退きの対象になっている、なかの理美容室の店主中野邦彦さんです。
5年前の豪雨では店舗が浸水。
濁流が流れ込んだ影響で店内に置いてある備品などが流されました。
その2週間後、仮店舗で営業を再開、翌年には店舗兼住宅の建物を建て直し新たなスタートを切っていました。
しかし…。
◆なかの理美容室 中野邦彦さん
「『ちょっとここが計画に引っかかるようになります』という話が来て。谷につき落とされたっていう言葉があるけど、それに近いようなショック」
新築したタイミングで県から立ち退きの対象になったことを伝えられたといいます。
立ち退きの対象の28軒のうちすでに交渉を終えたのは18軒。
県は中野さんの分を含めて2026年度までに交渉をすべて完了させたい考えですが…
◆中野さん
「これ2、3年話が先になるんじゃないかって。いつになるかが分からない。自分たちがどういう風に(県と)話をしていいかちょっと迷っている」
一方、温泉街では住民にとって明るい話題もあります。
玖珠川沿いにある益次郎温泉、地元の共同露天風呂です。
豪雨の後、泉源の温度が低くなり2022年10月に一度は閉鎖を余儀なくされましたが、2025年4月、2年半ぶりに復活しました。
◆地元の人
「憩いの場所であり、井戸端会議の場所。皆さんと一緒に復活を願いながら約2年半」
(Q復活した時の気持ちは?)
「万歳だった」
◆湯山区管理運営委員会久積信朗副会長
「長かった、もう永遠に復活しな いと思っていた。みんな本当に温泉を待っていたんだと思う、見ると昼も夕方も大混雑。ずっと続けばいいなと思う」
甚大な被害をもたらした豪雨被害から5年。
温泉街は復興への道を着実に歩んでいますが一部の住民は暮らしの変化を迫られていました。