携帯電話の普及により、街角であまり見かけることがなくなった「公衆電話」。
設置台数がピーク時から9割減少し、「絶滅危惧種」ともいわれる公衆電話だが、災害時には安否確認のツールとして、安全の「命綱」の役割を担う重要なライフラインだ。

絶滅危惧種!?の公衆電話
絶滅危惧種!?の公衆電話
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街角の「公衆電話」40年で9割減少

街中にたたずむ公衆電話。
かつては街角にあちこちに置かれていたが、今では見つけるのも難しくなっている。
NTT西日本によると、日本国内の公衆電話の数は1983年の93万台をピークに年々減少。
携帯電話の普及にも追い打ちをかけられ、2023年には11万台と、9割も減少した。

公衆電話は40年で9割減少
公衆電話は40年で9割減少

法改正で今後も削減「ご当地」公衆電話も姿消す

NTT西日本鳥取支店公衆電話営業担当・西村一義担当課長によると、最近20年間で利用率も98%減少し、撤去が進んでいるということだ。
2022年に電気通信事業法が改正され、公衆電話の設置基準が緩和されたことから、今後10年かけて現在の4分の1にまでされるという。
鳥取県内の公衆電話の台数は約700台と全国で3番目に少ない。
かつては、鳥取駅前に「麒麟獅子」、境港市に「鬼太郎の家」などユニークな“ご当地電話ボックス”も存在したが、老朽化で撤去が進み、鳥取県内では2032年までに約230台にまで削減される見込みだ。

NTT西日本鳥取支店公衆電話営業担当・西村一義担当課長
NTT西日本鳥取支店公衆電話営業担当・西村一義担当課長

災害に備え携帯・固定にない特別な機能も

今後、ますます姿を見かけなくなる公衆電話だが、携帯電話や一般の固定電話にはない特別な機能を備えている。
災害時の「無料化」だ。
「停電でも使えます。110番や119番も受話器をあげれば無料でつながります。災害などの非常時に強い」とNTT西日本鳥取支店の西村担当課長が教えてくれた。
災害発生直後など通話が集中する場合、一般の固定電話や携帯電話には通信規制がかけられるが、公衆電話は優先的に回線が確保され、通話が可能だという。

災害に強い公衆電話
災害に強い公衆電話

「スマホ世代」が使ってみると…

ただ、もしもの時に強い公衆電話だが、生まれた時から携帯電話があった若い世代にとっては「ナゾだらけ」の機械だ。
鳥取市内で若者8人に公衆電話からの通話を試してもらったが、半数は受話器を上げる前に硬貨を入れてしまうなど少々手間取った様子だったが、最後には全員が使い方を理解した。
ほとんど使ったことがないという女子高校生は、110番、119番などの緊急通話が無料だと知り、驚いた表情を見せた。そして、停電時にも使えると知り、「すごく便利だし、もっと公衆電話はあってもいいんじゃないかな」と話した。
また、20代の男性は「子どもの時に使ったことがあったけど、今は使わない。うちの近所でも公衆電話が撤去され、数が減っているが、残したほうがいい。もしもの時のために」と話した。

“初めて”の公衆電話
“初めて”の公衆電話

どこにある?使い方は?家族で確認を

受話器をあげて10円玉を投入、相手の番号を押せばつながる。
かつては当たり前のように知られていた公衆電話の使い方も、今の若い世代にとっては必ずしも当たり前ではないようだ。
NTT西日本鳥取支店の西村担当課長も、「お子さんやお孫さんにも使い方を教えてあげてほしい。ホームページに公衆電話のマップもあるので、近所のどこにあるのかも確認してほしい」と勧める。

設置場所をインターネットで確認できる
設置場所をインターネットで確認できる

安否確認の「命綱」にも

災害時に無料で伝言を残す機能もある公衆電話。
日頃からどこにあるか確かめ、使い方も知っておけば、スマホ全盛の今も、災害のとき、家族の安否を確かめる「命綱」になる。
災害への備えとして、家族で一度、「公衆電話」について確かめてみてはどうだろうか。
(TSKさんいん中央テレビ)

災害への備えにも
災害への備えにも
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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