鳥取・米子市の病院に救命救急医として勤務していた医師が、2025年3月にクリニックを開業しました。救急の現場で培った経験を生かしながら「かかりつけ医」として「救急」の必要がない地域医療を目指します。
米子市の皆生温泉近くに2025年3月開業したクリニック。
「木村あおぞらクリニック」。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
喉をこちょこちょ、痛くないからね。あーんして。
患者の母:
きょうは鼻水と咳で目ヤニもひどくて。
母親に連れられた風邪気味の女の子に…。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
(肩)大丈夫?声ガラガラじゃない?
患者:
えっそうですか?
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
ちょっと喉見せて、あっ大丈夫だ。
肩を痛めた野球少年…。
掲げるのは内科と外科それに放射線科ですが、ときに小児科医の役割も担います。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
救急科と言えば全部専門ですけど、あんまり放射線科として開業していないので何でもおいでって感じですね(笑)
院長の木村隆誉医師、42歳。
福岡県出身で鳥取大学医学部を卒業後、東京の病院で勤務しましたが、2015年、再び米子市へ。3月まで鳥大附属病院の救命救急センターに勤務していました。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
コロナ禍で患者さんが病院受診を控えられて、病院側もキャパシティが超過してしまい、結果的に助けられなかった命がたくさんあって、それをどこかで止めたいという思いがあって、重症化する前に止めておけば大丈夫という病気もケガもたくさんあるので、それが結果的に地域医療の盛り上げやボトムアップになると思い開業に至った。
めざすのは、救急の必要がない地域医療。
救急医療の最前線で働くうち、重症化する前に治療できる診療所の重要性を強く感じ、これまで培った経験を生かして、気兼ねなく訪れることができる身近な診療所を開こうと決意しました。
鳥取県内の医師の数は1740人で、10年前に比べ114人、約7%増加しています。
一方で、診療所の医師の数は高齢化の影響などで減少し、依然として医師不足の状況が続いています。
こうしたなか、地域医療を支える「かかりつけ医」確保の一手として期待されているのが臓器や疾患に限定されず、患者全体を幅広く診る「総合診療」です。
木村医師も自ら「何でも医師」を名乗り、診療科にとらわれず患者と向き合います。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
あっ良くなってきている。
患者:
まだ(包帯で)覆わないといけません?
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
そろそろ無しでも良いかな。
数日前にやけどを治療に訪れた高齢の女性。その後の経過を確認します。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
(この女性は)きのうかおととい、飛込みで火傷しましたと言って来られた方で、酷くなかったので外来で診ていますが、酷くなる場合もあるのでその場合は躊躇なく鳥大の救命センターに紹介することを頭の片隅に置いています。
症状に応じて専門的な治療を受けられるよう総合病院とも連携。
患者と医療機関の橋渡し役を目指しています。
患者:
かかりつけは別のところに知り合いのドクターがいますが、そこは内科なので専門的に診てもらえると思って参りました。とっても安心ですね。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
何処の病院へ行って良いか分からないから来たという人が多くて、こちらとしても(最善の)道を作ってあげることができるので、そういうことがしたくて開業したので患者さんの笑顔に繋がれば良いと思っています。
この日は午後2時からの4時間に約20人の患者を診察。
赤ちゃんや幼児から高齢者まで、性別や年齢、症状も様々でした。
木村あおぞらクリニック 木村隆誉院長:
生活習慣病、これがしっかり管理できていないと、ゆくゆくは悪化して心筋梗塞などに繋がるので、生活習慣病をしっかり管理させていただき、その傍らで急な病気とケガを診てCTを撮ってその場で読影する大きな3本柱でやっていきたいと思うので、とにかく困ったら来れる気軽に寄れるクリニックを作っていきたい。
将来は在宅医療にも対応したいという木村医師。
「何でも医師」がいる駆け込み寺のようなクリニックがこれから地域医療を支える一手になるかもしれません。