福岡県北九州市の小学校で6月、水泳の授業を受けた児童25人が手の湿疹やしびれ、腹痛の症状を訴えて救急搬送されたことをめぐり、市の教育委員会は27日、手の症状は「プールサイドのマットによる圧迫痕」との最終結論を明らかにしました。
北九州市小倉南区の高蔵小学校では6月23日、プール開きで水泳の授業を受けた5年生と6年生の46人のうち22人が手の湿疹やしびれ、別の3人が腹痛の症状を訴えて救急車で病院に運ばれました。
手の症状は手のひらや手根部に集中していましたが、医師の診察の結果、医学的な異常は見られませんでした。
また検査の結果、プールの水質に異常は見られず、周辺の樹木や植物、虫にも有害なものは確認されませんでした。
これらを踏まえ市教委は6月27日に、手の症状はプールサイドのプラスチック製マットに手を着いた際の赤い圧迫痕の可能性があると発表していました。
さらに市教委が学校側に聞き取りをしたところ、当日の授業で児童はプールへの入水とプールサイドでの待機を繰り返したため、プールサイドで立ち座りを11回していてそのたびにマットに手をつく必要があったことがわかりました。
市教委の職員が実際に検証したところ同様に圧迫痕が認められたということです。
また、市立八幡病院の伊藤重彦名誉院長に医学的な見解を求めたところ、手の症状については「樹木や水が原因の場合、症状の出現時間に個人差があり、短時間、同時期に多くの児童で症状が出現することはない」「アレルギー症状であれば、かゆみを訴える児童もいることが多い」として内因性の要因ではなく外因性の要因と考えてよいこと、また、マット上での立ち座りという行動が共通していたことなどを総合的に判断すると「プールマットが原因と考えられる」との見解が示されたということです。
一方、腹痛については「手の症状と同じ原因から連動しているとは考えにくい」として「個人の当日の体調や体が冷えたことなどが重なった可能性が高い」との見解が得られたということです。
市教委は、市立小中学校と特別支援学校で水泳授業を一時中止していましたが、水質検査で安全が確認できた学校から順次、再開しています。