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プレスリリース配信元:株式会社D2C

~階層ベイズモデルと新商品戦略を考慮した処方的価格最適化~

 株式会社D2C(本社:東京都港区、代表取締役社長:高田 了、以下D2C)の社員、馮昕(Feng Xin)は、6月13~15日にアメリカ・ワシントンD.C.で開催されたマーケティングサイエンスの分野の世界トップカンファレンス「2025 ISMS Marketing Science Conference」において、自身が筆頭著者を務める研究論文(以下、本研究)の口頭発表をいたしました。


 本研究では、高度な統計分析(階層ベイズモデル)を用いて、利益向上のための最適価格を導き出す新しい仕組みを提案しました。この仕組みは、価格の変更が売れ行きに与える影響、過去の販売価格、新商品導入によるSKU数(商品の種類・品揃え)の変化といった、価格設定における複雑な要因をまとめて分析できるのが特徴です。実際に日本のスーパーの実データを用いて行った実証実験では、本手法により利益が向上する可能性が示されました。さらに、季節やセールなどといった時系列での価格調整にも合理的根拠をもってベストな価格を導く有効性が確認されました。


 2025 ISMS Marketing Science Conferenceにて発表した研究の詳細は、下記の通りです。


【タイトル】
Prescriptive Price Optimization with Hierarchical Bayesian Modeling and New-Product Strategies
(和訳)「階層ベイズモデルと新商品戦略を考慮した処方的価格最適化」


【著者名】
馮昕(Feng Xin): 株式会社D2C インハウス・データ事業本部 データソリューション部


【研究概要】
 本研究では、小売業の利益に直結する重要な要素である「価格設定」の最適化を目的としています。顧客が商品を選ぶかどうかは、単に現在の価格だけでなく、過去の価格の影響、また新商品の導入・既存商品の撤退に伴う品揃えを示すSKU(Stock Keeping Unit)数の変化にも左右されます。SKUの数が増えると、消費者は選択肢が増え、価格以外の要素も比較対象になります。一方、SKU数が少ないと、価格の影響が相対的に強まります。
 こうした中で小売業者は、時系列で適切な価格をいつ・どのタイミングで設定するかという課題に直面しています。しかし、従来の経験や勘、あるいは単純なルールベースの価格設定では、こうした複雑な動的要因を十分に捉えられませんでした。


 この課題を解決するため、本研究では2段階の分析アプローチを採用しています:


- 予測的段階(predictive stage)では、価格弾力性、遅行価格効果(過去の価格の影響)、およびSKU数の変動といった複数の要因を統合的に分析し、顧客の需要を高い精度で予測するモデルを構築します。
- 処方的段階(prescriptive stage)では、その予測モデルの結果を基に、ブランド単位で週ごとの最適価格を推奨する価格最適化モデルを構築し処方します。このモデルでは、プロモーションやセールの頻度といった店舗のリアルな制約条件も反映しています。


 このようにして、価格設定における複雑な現実的要因を統合的に考慮した処方的アプローチを提供し、小売業の利益最大化に貢献することが期待されます。


【ISMS Marketing Science Conferenceとは】
 ISMS(INFORMS Society for Marketing Science) Marketing Science Conferenceは、INFORMS(米国オペレーションズ・リサーチおよびマネジメント・サイエンス学会)が主催する、マーケティングサイエンス分野で世界的に最も権威のある国際会議の一つです。特に、厳密な定量分析やモデリングに基づくアプローチを共有・議論する場として、マーケティング研究の最先端の成果が発表されます。この会議は、マーケティングリサーチにおいてトップレベルの学術的信頼を誇り、毎年世界中の大学や企業から数多くの研究発表応募があります。その中でも口頭発表に選ばれるには、厳しい査読プロセスを経て高い学術的貢献性、実務的意義、方法論の独自性などが認められ採択された研究のみが発表の機会を得るため、本会議での口頭発表はその研究テーマの重要性と質の高さが国際的に認められた証とされています。

公式サイト:https://connect.informs.org/isms/conferences/marketing-science-conference


■ 株式会社D2Cについて
2000年6月1日、株式会社NTTドコモ、株式会社電通、株式会社NTTアドの3社合弁で設立。D2Cでは主に、ドコモが保有するデータを起点とした広告マーケティングソリューションの企画開発事業を展開。また、戦略立案からメディアプランニング、データ活用、クリエイティブ、CX、インバウンド施策など、デジタル領域を中心に幅広いマーケティング支援を展開するD2Cグループを擁し、グループ全体で「データマーケティングカンパニー」を標榜し事業を推進しています。
URL:https://www.d2c.co.jp/

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