自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「ごはんの前なのにお菓子が食べたい、お片付けがしたくない…そんな時に『泣き落とし』で訴えるわが子! ついつい根負けして要求にこたえてしまうことも…」

もう少しでごはんの時間だけれど、どうしてもお菓子が食べたい!お片付けの時間だけれど、もう少しだけ遊んでいたい!そんな時に子どもたちが使う“泣き落とし”。

「泣けばいいと思ってる?」とモヤモヤしつつも泣き顔に心がチクリ、ついつい「それじゃあ、少しだけ…」とお菓子を与えてしまう、というパパママも多いはず。
さらに、泣いていたはずのわが子はすぐ笑顔に…「これってまさか、泣きマネ?」というケースも。

育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんに“泣き落とし”する子どもゴコロについてお話を聞いた。


――“泣き落とし”しちゃう子どもたち…これって何歳ごろに覚えるの?

年齢的には、1~3歳くらいがピークだと思います。

0歳の赤ちゃんが泣いてママやパパを呼ぶのも、大きな意味では泣き落としとも言えますが、赤ちゃんはまだ自分で動けませんし、言葉で伝えられないので、泣きの力に頼ることが増えるのは致し方ないこと。よって、今回のトピックに沿った「泣き落とし」の年齢的なピークは2歳前後と言えるでしょう。

理由としては、自分で自由に動けるようになり、やりたいことが増えることに加え、2歳あたりからは第一反抗期(イヤイヤ期)の自己主張が重なります。「あれはやりたいけど、これはイヤ」が一気に増えるので、泣き落とす場面も同時に増えてしまいがちです。

ただ、泣き落としはこの先の年齢でもよく見られます。幼稚園や小学校に上がっても泣き落としする子はいて、もともとの気質的に否定的な粘りが強いお子さん(いわゆるガンコなタイプ)や泣き落としにメリットを感じていてクセになってしまっているお子さんは長く続く傾向があります。


――“泣き落とし”する子どもゴコロの正体と、対処法は?

泣いたことで欲しいものが手に入ったり、やらなくてはいけないことをやらずにすむと、「泣いた甲斐があった」というインプットがされるため、次回も同じように泣くようになります。

これを心理学では「行動の強化が起こった」と言いますが、泣き落としが習慣になってしまっているケースはこの強化が起こってしまっています。よって、対応としては、その強化を持続させないことがコツになります。

たとえば、お菓子をあげるとき、クッキーを1枚あげておしまいにしようと思ったら、泣かれて1枚、それでも泣くからまた1枚、ということはないでしょうか。こういう繰り返しで泣き落としはどんどんクセづけされていきます。そうしないためには、たとえば「おやつにはクッキー3枚が限界」とママが決めていたら、はじめから3枚あげてしまうんです。

1枚→泣き落とし→2枚→泣き落とし→3枚となるよりは、はじめからすっぱりとお約束の3枚をあげておくんですね。で、4枚目は泣いてもあげない、これが非常に大事です。

お家のルールを設定するとき、厳しくし過ぎて、結局折れてしまうのであれば、そこをはじめから着地点にしておくんです。「このくらいならまぁOK」というところに「お約束の線」を引いて、親子共々しっかり守っていくことが泣き落とし対策のポイントです。

いったん泣き落としのスパイラルに入っているご家庭でも、親子共々しっかり「お約束の線」を守ることを徹底すると、はじめは泣きが強くなることもあっても(これをバーストと言います)、それを通り過ぎればしだいに泣き落としはなくなっていきます。お家のルールで、テレビはどれくらい、おやつはどれくらいと色々と決めていると思いますが、厳しすぎず甘すぎず、なんとかお互い守れるところに「お約束の線」を引くことがポイントになります。


パパママに“泣き落とし”を使ってしまう子どもゴコロの正体は、泣いて訴えたときに「お菓子を貰えた」「お片付けしなくてもよかった」など、「泣いて正解だった!」という経験がインプットされてしまっているから。
子どもたちの泣き顔についつい「それじゃあ、あと少しだけ…」と“オマケ”したくなる気持ちもわかるが、あと少しだけ…と許せるところに「お約束の線」を引いて泣き落としに応じないことで、「泣いてもいいことが起こらない…」ということが伝わるはずだ。

「ウソ泣き」は0歳から身につける?

また、“泣き落とし”のあと、すぐに笑顔に戻っている…実は“泣き落とし”と見せかけて“ウソ泣き”だった?なんていう、ちょっと困ったクセが身についている子どもたちもいるはず。
うっかり騙された!というパパママのために、そんな“ウソ泣き”についても聞いてみた。


――“ウソ泣き”を覚えるのはいつ頃?

ウソ泣きは0歳代で経験されている親御さんが多いように思います。
泣くから抱っこしたら、抱っこした瞬間に泣き止んだ。よく見ると、涙がまったく出ていない!こんな経験をされている方は多いのではないでしょうか。

赤ちゃんにとっては、泣くことは大事な意思表示の手段であり、気づいてもらえない欲求は基本的には泣く形で周囲に伝えます。その流れで「これは効く」ということを学ぶのです。もちろん赤ちゃんに悪気はありません。「こうやればこうなる」と世の中の因果関係を着々とインプットしているのです。

――“ウソ泣き”にパパママはどうしたらいい?

ウソ泣きも、自分の欲求をかなえるために用いられる際は、泣き落としと同じからくりです。あとは、自己防衛のためのウソ泣きだったり、注意引きのためのウソ泣きということもあります。たとえば、ママに怒られたとき、それ以上責められないように泣くふりをしたり、かまってほしいというときに泣いて声をあげることでママに飛んできてもらうような場合です。

これらは、いずれも「泣くことが効く」ということを経験上知っているからこそ出る行動です。だから、涙は出ないけれど泣くふりをするわけです。こう考えると、ウソ泣きを単独に捉えるよりも、泣き落としの派生形のように考えた方が自然です。

泣き落としもウソ泣きもどちらも“泣くことのメリット”が背景にあります。そのメリットが続く限りは、泣きが続きがちなので、「この子は泣いて何を得ているのか」という視点で捉えてみると、介入のポイントが見えやすくなります。



「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。

・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?

などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)