秋田市の視覚支援学校の児童生徒が校内に寝泊まりし、楽しみながら防災について学ぶ防災キャンプが行われました。災害時にどう行動するか。子どもたちにとって学びの多い2日間になったようです。

秋田市にある県立視覚支援学校です。6月19、20日の2日間、小・中学部の児童生徒5人が、学校に寝泊まりして防災を学ぶ防災キャンプに挑戦しました。

先生は、日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部の講師・及川真一さんです。

校内に宿泊するのは初めての取り組み。学校の体育館が避難所になったという想定で、様々な場面や行動を考えます。

及川さんははじめに、子どもたちに「避難所は、私たちが“場所をお借りする”。ということは、自分たちで何かを持ってきて協力し合わないとその空間は変わらないということ」と話しました。

子どもたちは体育館にあるもので、一から避難所設置の準備を進めます。

男女のスペースを分けるためのパーティションを用意したり、体育用のマットで寝床を作ったり、児童生徒が自ら考えて動きます。

避難所の設営を始めてから40分、救援物資が届きました。段ボールベッドや組み立て式のベッド、テント、調理器具、食料です。

児童生徒たちは協力して手際よくテントを組み立てます。

また避難所で欠かせないのが、避難してきた人たちが休息をとる場所です。一般的なのは段ボールベッド。複数の段ボールを組み合わせて作ります。アウトドア用の簡易ベッドも活用が広がっています。

避難所の寝床作りが完了。児童生徒は救援物資で昼食をとったあと、調理場や水タンクなどを設置しました。そして、夕食を済ませると夜の校内を探検し、眠りにつきました。

一夜明けた翌日。

「ちゃんと寝られましたか?寝られなかった?」と及川さんは子どもたちに声をかけました。そして「いろんなことを感じたと思う。昼間一生懸命避難所を作ってどうだった?」と聞くと、子どもたちから「楽しかった」という答えが返ってきました。

さらに「一晩過ごしてみたら、こういう風にしたほうがいいな、こんな風に変えたほうが良かったかなと考えることできた?」と聞いてみると、1人の子どもが「はい」と返事をしました。及川さんは「そういったことの積み重ねをしていくと、避難所はとても良いものになっていくので、すごく良い経験をしたと思う」と子どもたちに話していました。

防災キャンプ2日目は水害避難体験です。

体験を前に、及川さんは「本当はそうなる前に逃げてほしいけれど、きょうの経験で『こんな状況で逃げるのは本当に困るんだ』ということを知れば、より一層『早く逃げよう』と言いやすくなる」と体験の重要性を伝えました。

想定は「大雨で冠水した夜の道路」です。たらいを沈め、ブラシやバケツを浮かべたプールに入った児童生徒は、アイマスクをつけ、白杖を手にプールの端から端へ歩きました。

その後、靴から長靴に履き替え、同じように歩いてみました。

「どうだった?重たいでしょ」と聞かれた子どもは「水の抵抗がすごかった」と話しました。

及川さんは「雨が降ると、どうしても長靴とイメージしてしまうけれど、長靴で避難するとなると中に水が入ると歩きづらくなる。転んでしまうかもしれない」と話し、「水害で避難する時は“靴”」とアドバイスしました。

小学5年生:
「楽しかった。水の抵抗がすごくて、洪水の時は長靴ではなく靴が良いと分かった」

小学6年生:
「体育館に普段泊まることがないので緊張した。ベッドの寝心地はとても良かった。いろいろなことを学んでこれからも生かしたい」

県立視覚支援学校・銭谷寿教諭:
「障害がある人の家族は、避難所に居られなくてまた自宅に戻って避難されるケースもよくある話だと聞くので、そういうことではなくて、子どもたちも主体的に避難所の運営に関わっていけるような大人になっていければいいなと思う」

1泊2日の防災キャンプ。子どもたちは楽しみながら過ごすことができ、学びも多かったようです。

秋田テレビ
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