戦後80年の節目に合わせ、松江市出身の哲学者・中村元博士の戦争体験や平和研究を足跡をたどる企画展が、松江市で開かれています。
「戦争によって得たものはなにか?ただ荒廃と貧窮だけではないか」
「戦争をやめよう」
当時、旧制高校の3年生だった中村元博士が記した作文の一節。
のちに世界平和を願った哲学者としての片鱗をうかがうことができます。
松江市八束町の中村元記念館で開かれている企画展『戦後80年 中村元博士の戦争・平和』。
松江市出身で、インド哲学・仏教学の第一人者の中村博士に関する収蔵品を通じて平和について考えてもらおうと戦後80年の節目にあたり、初めて戦争に焦点を当てた企画展です。
25歳の時、中国大陸の戦地に赴く際に贈られた「出征旗」や当時の軍隊手帳など、およそ60点の資料から中村博士の戦時中の体験をたどることができます。
中村元記念館・加藤千乃学芸員:
戦時中の先生の苦労とその研究について紹介するコーナーになっております。この論文は、本として出版することがなかなか難しくて、防空壕の中で原稿を守ったりと大変ご苦労されて、最終的に戦後にこちらの本になったと伺っています。
また、戦後に記された直筆の原稿や平和研究、活動に関する資料も紹介され、世界平和を願い続けた思想家・中村博士の一面にふれることができます。
中村元記念館・清水谷善圭理事長:
戦争を知らない人だらけ。中村先生を通して皆さんにお届けしないと平和を希求する心そのものが無くなってしまいそうな気がするので、今がまさしく最後のチャンスかなと思っています。
この企画展は、展示内容を変えながら12月27日まで開かれています。
中村元記念館・清水谷善圭理事長:
(中村博士の)平和に対する強い思いを多くの方に見ていただけるって言うのは大きな意義があるのだと。何を考え何を悩まれたのかということをこの記念館で知っていただければ。