高騰するコメ価格の安定化に向けた備蓄米の放出について、県内でも随意契約の備蓄米の販売が始まった。コメ不足が叫ばれる中、備蓄米による“流通の活性化”にコメ販売店も期待している。
大手コンビニエンスストアのローソンは、随意契約で調達した政府備蓄米の販売を県内でも14日から一部の店舗で始めた。
販売を望む全国の店舗に備蓄米を行き渡らせるため、販売数は1店舗あたり2キロパック・2袋に限定。購入できるのは1人1袋まで。
山形市内では14日(土)午前0時に複数の店舗で販売がスタート。
販売されたのは2021年産の「古古古米」で、2キロで756円。福井県産の「ハナエチゼン」という品種だった。
別の店舗で購入したという人は…。
(購入した人)
「備蓄米を食べてみたいとずっと思っていた。どこの店に問い合わせをしても『入ってこない』で。山形の方にはどこからも情報が入ってこなくて」
この男性は、備蓄米を売っている店をずっと探していて、この日、やっと購入できたという。
(購入した人)
「値段は魅力。今は高いので。家族で食べてみようと思う」
次の入荷時期について、ローソンは6月下旬~7月上旬を見込んでいるが、詳しい日程は決まっていない。
そして、県内でもいまだコメ全体の流通量が少なく、コメ販売店では在庫が少ない状況が続いている。
新米の時期まで在庫がなくならないよう購入できる量を制限したり、販売を常連客にしぼったりと対策を講じる店もある。
今回の政府による備蓄米の放出については、賛否両論の声が聞かれた。
(県内のコメ店A)
「これまでコメ価格が安い時には、政府は効果的な対応を何もしてくれなかった。今回は選挙前だから、票を集めるために備蓄米を放出したのだろうか。政府の対応には少しモヤモヤしている」
取材した販売店の多くは「備蓄米の販売はしない」と話しているが、政府の備蓄米放出には期待する部分もあるという。
(県内のコメ店B)
「国内のいくつかの大手卸売業者が在庫を市場に出してきている。これは備蓄米放出の効果とみられ、減っていたコメの流通量も今後安定していくのではないか」
また、「今年の新米の時期まで3カ月を切る中で、2024年産のコメの在庫を抱えている卸売業者は流通させていくとみられ、コメ価格も安定するのではないか」との見立てを話す店もあった。
<県内の備蓄米の販売状況>
●「サンドラッグ」もすでに備蓄米を販売し、今後も入荷し次第店頭に並ぶ見通し。
●「ヨークベニマル」は16日に入荷し販売が始まっている。今後は週2回程度の入荷を予定しているという。
●「イオン」は6月21日午前8時から「イオンスタイル天童」で5キロ・2200袋を販売予定。