エスカレートするイスラエルとイランの軍事衝突について、共同通信の太田昌克編集委員はワシントンの高官への取材をもとに、今後の行方を解説しました。

■イスラエルは本気でイランの体制転換を狙っている

イスラエルはイランの最高指導者、ハメネイ師を支える要石である「革命防衛隊」の司令官を真っ先に殺害した。

そして今も執拗に革命防衛隊の攻撃を続けている。これは、イランの体制自体を転覆させてしまおうという思惑があるのではないか。

<アメリカとイランが核開発をめぐる協議を行っているさなかに攻撃したタイミングについて>

先月末にアメリカで核政策を担当する高官と意見交換したが、イラン情勢は近く「弾ける」であろう、仮にトランプ大統領が中途半端なディールを結んだら、「イスラエルのネタニヤフ首相はイランを攻撃するであろう」とこの高官は予測していた。

アメリカとイランの交渉が進んでいる中でのイスラエルの攻撃となった背景には、イスラエルからみると「いい加減なディール」をトランプ大統領とイランが結ぶ前に先に封じ込めようとして攻撃した可能性が高い。

イランは「ウラン濃縮は(主権国家の)権利」だと主張しているが、トランプ大統領が右往左往しているので、イランの主張を認めてしまうのではないかとイスラエルが思った可能性がある。

※ウランを90パーセント以上濃縮すると核兵器の原料になるが、IAEA(国際原子力機関)はイランが60パーセントの高濃縮ウランを増やしていると報告している。


■今週中の停戦合意なければ「中東は大惨事に」

このまま両国の衝突が激化すると、イスラエルには多くのアメリカ国民もいるので、アメリカも紛争に介入せざるを得なくなる。トランプ大統領がネタニヤフ首相に「これ以上エスカレーションするな」と圧力をかけられるかどうかに今後の展開はかかっている。

イランへの働きかけは、これまで交渉のチャンネルを持っていた欧州、イギリス、フランス、ドイツがパイプ役になりうるし、ロシア、中国という大国が加わることで、しっかりイランに圧力かける必要がある。

今週中に停戦合意できなければ、中東は大惨事になる可能性がある。

(共同通信・太田昌克編集委員 関西テレビ6月16日「newsランナー」より)

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