インド西部アーメダバード空港で現地時間12日午後、エア・インディア機が離陸から約30秒後に市街地へ墜落する事故が起きた。乗員・乗客242人のうち241人が死亡したほか、多くの負傷者が出ているとみられる。いったいなぜ事故は起きたのか、また、なぜ1人だけ生存できたのか、専門家に聞いた。

市街地の大学寮に墜落

いくつもの謎が残るエア・インディア機墜落事故。

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航空評論家・小林宏之氏:
考えられない。エンジンにしても、機体にしても非常に安定しているので。

これまで安全といわれていた機体がなぜ離陸後、わずか30秒で墜落したのか。
242人の乗員・乗客のうちなぜ、1人だけ生存することができたのか。

事故が起こったのは現地時間の12日午後。
インド西部のアーメダバード空港を、イギリス・ロンドン近郊の空港に向け旅客機が離陸していく。

翼を左右に揺らしながら徐々に地表へと近づいていった旅客機
翼を左右に揺らしながら徐々に地表へと近づいていった旅客機

しかし離陸からわずか10秒ほどで下降しているように見える機体。
翼を左右に揺らしながら徐々に地表へと近づいていった。

そして離陸から約30秒後。
機体は視界から消え、巨大な炎が上がった。

別の映像では住宅街の上空すれすれを飛ぶエア・インディア機が、車輪を出したままの状態で、速度もあまり出ていないように見える。

機体は、市街地に墜落した。

この場所は、空港から約1.5km南西に位置する大学の寮。
その屋上には炎が上がり、機体の残骸があちらこちらに見られ、壁には機体の一部がめり込んでいた。

大学寮の内部には墜落の惨状を物語るかのように、壁が粉々に砕かれ旅客機の車輪もあった。

事故機わずか3日前に羽田空港へ

事故を起こしたエア・インディア機は、2011年から運航しているボーイング787型機で、日本でも多く使われているものだ。

そして、今回の事故機も墜落のわずか3日前に日本の羽田空港に来ていたことも判明した。

専門家も今回の事故に驚きを隠せない。

航空評論家・小林宏之氏:
(Q. 事故原因について)離陸直後に2つのエンジンが同時に故障し推力を失ったと(映像からは)考えられる。(一方で)非常に信頼性の高い飛行機で、墜落全損事故は起きていない。2つのエンジンが同時に停止するとは考えられないこと。

この事故で、乗員・乗客242人のうち241人が死亡。
また、地元メディアが墜落現場の寮にいた学生5人が死亡したと報じるなど、多くの負傷者が出ているとみられる。

生存者に専門家「たまたま空間できて脱出できた」可能性指摘

こうした中、墜落したエア・インディア機の搭乗者に1人の生存者がいた。

病院に搬送された“ただ1人の生存者”ビシュワシュ・ラメシュさんは、自宅のあるイギリスに家族とともに帰るところで、前方の非常口付近の座席に座っていたという。

ロンドンにいる弟によると離陸の直前と墜落の直後、ラメシュさんは父親と電話で会話していたという。

生存者・ラメシュさんの弟:
父が兄に電話して、そのとき兄は「もうすぐ離陸するんだ」と言いました。そうしたら文字通り2分後に飛行機が墜落して、兄が父に電話をかけてきたんです。「飛行機が墜落した」「他の乗客は見当たらない」「どうやって生きているのか。飛行機から脱出したのか全くわからない」って…。

なぜラメシュさんは奇跡の生還を果たしたのか。
航空評論家の小林さんは1つの可能性を挙げる。

航空評論家・小林宏之氏:
たまたま生存者の近くが飛行機(の機体)がかなり破壊されて、空間ができた。あるいは非常口が何かの拍子で開いてしまった。たまたま空間ができて脱出できた(可能性)。
(「イット!」 6月13日放送より)

追記:地元メディアは地上で巻き込まれた人を含む265人が死亡と報じている(13日21時15分更新)。

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