栃木・那須町で12日、宿泊税導入に関する条例が可決された。1泊1万円未満では100円、10万円以上で最大3000円の宿泊税が徴収される。宿泊税導入により、年間約3億円の税収を見込んでおり、道路整備や周遊バスの充実といった観光振興に充てられる予定だ。

「数百円ならいい」…広がりを見せる宿泊税導入

栃木・那須町で「宿泊税」の導入が成立した。導入の背景には他の地域とは少し違う、特有の課題があった。

この記事の画像(11枚)

雄大な自然が広がる那須高原やテーマパーク、両陛下らが静養される御用邸があることでも知られ、那須町は連休には家族連れも多く訪れる。そんな観光地で12日午前、那須町議会本会議が開かれた。

議長:
起立多数であります。那須町宿泊税条例の制定について原案のとおり可決されました。

町が2026年10月からの導入を目指す宿泊税が可決された。1人あたり1泊の宿泊料金が1万円未満の場合は100円、1万円〜2万円未満の場合は300円、2万円〜3万円未満の場合は500円、3万円〜5万円未満の場合は800円、5万円から10万円未満の場合は1500円、10万円以上の場合、最大で3000円の宿泊税が徴収される。

年間で約3億円の税収を見込み、道路整備や周遊バスの充実といった観光振興に充てられる予定だ。

宿泊税の導入に対し、観光客に話を聞いた。

観光客:
数百円ならいいんじゃないかな。でも数千円はちょっと高いな。

観光客:
ある程度、観光客の人が今外国人とかが多いので必要だと思います。

急増するインバウンドなどを背景に、東京や京都などでは宿泊税は既に導入されている。人気の温泉街、神奈川・箱根町でも導入の検討を始めるなど広がりつつある。

那須町の2024年の観光客は約562万人と統計開始以来、過去最多となった。最近は、動物のテーマパークが外国人にも人気だという。

人口減少と老朽化で財源確保が課題に

しかし、取材を進めるとインバウンド対策だけではない地域特有の課題が見えてきた。

取材班:
電柱は色が変わっています。赤くなっています。柵は切れてますね。ぐらぐらしています。

温泉街の柵や側溝の蓋は劣化により錆だらけで、整備されていない箇所がいくつもみられた。さらに、温泉街で民宿を営む方からこんな切実な声が上がっていた。

民宿旅館アサカ荘・浅賀みさこさん:
7月にやめるんです。民宿をやめる。壁とかも汚いでしょう。(宿泊税導入が)10年くらい前なら改装とかしたかもしれないけど。

観光が主要産業の那須町だが、人口減少が進み税収が減ることが喫緊の課題で、今後観光地として発展していくために財源の確保が必要だという。

専門家は、こう懸念を指摘する。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん:
観光地としてブランドがあるところは、宿泊税を徴収した状況でも宿泊客が減るという懸念はないと思います。一方、なかなか誘客が難しいような場所で導入してしまうと、ネガティブなイメージを抱かれてしまう。(客が)減ってしまう懸念はあると思います。
(「イット!」6月12日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)