沖縄・読谷村で9日、不発弾処理中に爆発が起き、隊員4人が怪我をした。翌10日には名古屋市のマンションの建設現場で不発弾が見つかった。5月には、広島大学の敷地内で不発弾が見つかり、学生に避難指示が出された。戦後80年を迎えるが、不発弾の年間の処理件数は、全国で1000件超えているという。今なお残る戦争の爪痕“不発弾処理”の最前線を取材した。

全国各地で不発弾の発見が相次ぐ…破裂する事故も

2025年で戦後80年を迎えるが、今も各地で不発弾の発見が相次ぎ、中には破裂する事故も起きている。

9日、沖縄・読谷村の不発弾保管庫で不発弾が破裂した。不発弾のサビを取る作業中に起きた事故で、自衛隊員4人が怪我をした。

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名古屋市では10日、マンションの建築現場で不発弾が見つかった。不発弾は、全長120cmでアメリカ製の「250キロ焼夷弾」だったという。

さらに5月13日、広島市では不発弾が学校の敷地内でも見つかった。

取材班:
不発弾らしきものが見つかった工事現場のすぐ手前には規制線がはられていて、そのすぐ脇にある学生棟の皆さんには避難指示が出されました。

不発弾が見つかった広島大学霞キャンパスでは学生に避難指示が出され、休講になるなど一時騒然となった。

不発弾の処理件数は毎年1000件超

太平洋戦争後、80年が経っても不発弾は地中に数多く残されたままになっている。FNNはその不発弾を処理する陸上自衛隊の特別部隊を独自取材した。今なお残る戦争の爪痕と今後の課題が見えてきた。

太平洋戦争中、アメリカ軍が各地で爆弾投下を行った。その多くが今もなお不発弾として地中に眠っているとされ、不発弾の処理件数は毎年1000件を超えている。2023年度は全国で1852件、そのうち沖縄県が441件と4分の1を占めている。

防衛省関係者によると、どれだけの不発弾が列島やその周辺海域に今も眠っているかは分かっておらず、「発見」の通報を受けるたびに地道に処理を進めていくしかない現状があるという。

今回、FNNはその不発弾を処理する陸上自衛隊の不発弾処理部隊に密着取材した。

隊長:
安全確実に不発弾処理を実施せよ。

この日行っていたのは、使用できなくなった弾薬を用いた「不発弾の処理手順」を確認する訓練だ。

隊員:
点火用意、点火!

隊員:
点火成功!

2024年度、陸自・朝霞駐屯地(第102不発弾処理隊)の不発弾処理での出動は、220件にものぼったという。過去にはこんな事案もあった。

取材班:
今、信管を抜いた不発弾がつり上げられていきます。

2021年には東京・杉並区の住宅街で長さ1m、重さ約50kgの不発弾が回収された。

第102不発弾処理隊・牧野智計隊長:
戦後80年経った今でも不発弾が爆発する危険性は消えておりません。安全な環境を作っていくことに対し、非常に強い使命感を持ち取り組んでいます。

海中に残る「機雷」の脅威…新たな懸念も

一方、不発弾が眠っているのは陸上だけではない。

太平洋戦争末期には、アメリカ軍が「機雷」と呼ばれる爆発兵器を海中に多数設置した。

沖縄以外にも関門海峡などの海運を封鎖し、物流を止めることを目的にした「飢餓作戦」をアメリカ軍が行い、約1万2000発もの機雷を投下した。

戦後こうした機雷の処理が行われてきたが、いまだ海底には多くの不発弾が残されているのが実態だ。

一方、ある防衛省幹部は「機雷」を使った軍事作戦が、今後新たな懸念を生む可能性を指摘する。

防衛省幹部:
台湾有事が起きた場合、中国が海上で機雷を使用すれば各国が近づけない。機雷をまかなくても「機雷をまいた」と偽情報が流れれば、誰も近づけなくなるという脅威もある。

戦後80年が経った今、アジアを巡る新たな課題にも目を向ける必要があるのかもしれない。
(「イット!」6月12日放送より)

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