2025年5月、福岡・北九州市で当時87歳の男性の遺体が見つかった事件。捜査本部は殺人の疑いで男性の長男ら2人を再逮捕した。
「人でも掘っているのかね…」
「殺人事件被疑者の通常逮捕についてご報告いたします」。6月11日、北九州市の小倉北警察署で谷山浩一郎署長が記者会見を開いた。
殺人の疑いで再逮捕されたのは、土木建築会社、花山組の社長、華山龍馬容疑者(46)と知人の福田真美容疑者(42)の2人だ。

捜査本部によると、華山龍馬容疑者と福田容疑者は共謀し、2025年4月17日頃、華山龍馬容疑者の父親で会社役員の龍一さんの首を絞めて殺害した疑いがもたれている。

死体遺棄現場の近くの住人は「現場を重機で掘っていたから『何か掘っているのかね』と(思っていた)。『人でも掘っているのかね』と主人とは話していた」と当時の状況を話す。

5月20日になって警察は、会社が管理する北九州市小倉南区の資材置き場を捜索。土の中からシートにくるまれ、変わり果てた龍一さんの遺体を発見した。

警察は、龍馬容疑者と福田容疑者を死体遺棄の疑いで、それぞれ逮捕した。
3人に何が起きたのか…
殺害された龍一さんの知人は「龍一さんは、お金を持っている。財産が沢山あるからね、不動産とか」と話している。

北九州地区で名が通った土木建築会社を一代で築き、資産家だったという龍一さん。長男である龍馬容疑者は、そんな父親を慕っていたという。龍馬容疑者の知人は「お父さんのことはすごく尊敬していたと思います。口には出さないけど、信頼していた」と話す。また別の知人は「龍馬の車のナンバーは、大体『87』(※花山組への愛情)」と話す。

福田容疑者は、子どもの頃から龍一さんや龍馬容疑者と家族ぐるみの付き合いがあり、両親を亡くしたあとは華山家から金銭的な援助を受けていたという。

福田容疑者の知人によると「お金は結構、もらっていると思う。億までないが、何千万とかではないですかね。龍一さんがお金も資産もあることは昔から知っている」と話す。
殺害を主導したのは長男か
特にトラブルを抱えていなかったように見えた3人だが、事件は突如、起きた。
2025年4月17日の夕方、龍一さんは自宅前で龍馬容疑者と福田容疑者が乗る車に乗り込んだあと、殺害されたとみられている。捜査本部によると、車は福田容疑者が運転。龍一さんは助手席に座り、後部座席には龍馬容疑者が座っていたということだ。

捜査関係者によると龍馬容疑者は、龍一さんを殺害したとされる数日前から当日の間に結束バンドや粘着テープなどを購入していたことが新たに分かった。龍一さんの死因は、何らかの凶器で首を絞められたことによる窒息とみられていて、捜査本部は結束バンドなどが事件に使われた可能性もあるとみて調べている。

事件の翌日、龍一さんの遺体は資材置き場まで運ばれ、埋められたとされていて、事件後の龍馬容疑者について知人は「(龍一さんが)行方不明になったときも『知人にはめられた』と言っていた。お父さんのことを思ってちょっと涙ぐむときもありました」と話している。

捜査本部は、再逮捕後の認否を明らかにしていない。捜査第一課の吉川一久課長は「殺害を主導したのは、現時点は華山龍馬容疑者とみている」とコメントした。
龍馬容疑者は、犯行に使ったと見られる凶器や遺体を包んだシートを事前に購入していたということで、捜査本部は、龍馬容疑者が主導した計画的な犯行とみて動機などを詳しく調べている。
(テレビ西日本)