白いキャップをかぶって歩く男。
日本大学重量挙部の元監督・難波謙二容疑者(63)です。

授業料などが本来免除される予定だった特待生4人の保護者から、現金205万円をだまし取った疑いで、逮捕されました。

重量挙部の監督を20年以上務めていた難波容疑者。
大学の調査では、少なくとも5300万円以上を保護者から不正に徴収したことが確認されています。

事件は2022年12月に起きました。
難波容疑者は日本大学生物資源科学部の教授と、重量挙部の監督を務めていた時です。

難波容疑者が目を付けたのは、重量挙部に入部予定で入学金や授業料などが免除される奨学金制度の対象者や保護者でした。

難波容疑者とコーチは本来支払う必要のない学費などを「2年次以降徴収されません」などと嘘の説明をし、現金を振り込ませた疑いが持たれています。

悪用されたのは学費を重量挙部経由で大学側に支払う「代理徴収制度」です。

20年以上続いていたこの制度では、大学からの入学に関する書類を重量挙部が受け取ります。

ここで難波容疑者の指示を受けたコーチが、正規の振込依頼書を偽の振込依頼書と入れ替えます。

これを保護者らに送り本来、支払う必要のない入学金などを重量挙部の口座に振り込ませていたとみられています。

また、大学へ必要な振り込みに関してはコーチが重量挙部の口座から引き出した現金で学生の名前で振り込むことで発覚を逃れていたということです。

難波容疑者はだまし取った現金で、自身が使うスーツやバッグなどの購入に充てていたとみられています。

入学前に100万円近くを振り込んだという元重量挙部の部員は「(大学)1年目のみ授業料などを入金すればという形で、実際は免除されたということを知らずに払わされました。『大学の受験に合格しました。1週間以内にお金の入金が必要です』みたいなこと言われました」と話しました。

日大は部員や保護者からの訴えを受け、調査を実施。
その結果、難波容疑者がこれまでに少なくとも58人の部員の保護者から5300万円以上を受け取ったとして、2024年、懲戒解雇するとともに刑事告発したのです。

難波容疑者は取り調べに対し「寄付金として保護者の了解を取り付けてもらったお金という認識だった。私的に使用した寄付金は一切ない」と話しているということです。

警視庁は難波容疑者が監督という立場を悪用し長期にわたり不正な請求を繰り返していたとみて、全容解明を進める方針です。