愛知県小牧市にあるJR東海の研究施設では、実物大の盛り土を再現するなどして実験を重ねていて、新幹線の安全な運行に生かされています。リニア中央新幹線にも役立てられているという“乗り心地”の実験を体験しました。
■2024年8月の計画運休にも生かされた「盛り土」の研究
小牧市にあるJR東海の研究施設では、実物大の高さ6mの盛り土に、1時間あたり200ミリもの雨を降らせることができ、その安全性を研究しています。

東海道新幹線は、線路の土台が盛り土の区間が全体のおよそ44%あります。大雨が降ると崩れる可能性があるため、降った雨や土に含まれる雨の量によって運転に規制をかけています。
台風10号で、太平洋側を中心に記録的な大雨となった2024年8月、東海道新幹線は三島から名古屋の間で3日間、計画運休を実施しました。こうした判断にも研究が生かされています。
■“乗り心地”を実現した「車体傾斜」を体験
この施設には、新幹線の内装や走行音などを完全再現した「車両運動総合シミュレータ」があり、乗り心地を追求するための実験も行われています。

新幹線がカーブするときに車体を斜めにすることで、人間が感じる遠心力を低減するシステムを体験しました。

まず、“車体を斜めにせずに”カーブすると、座席のテーブルの上に置いていたペットボトルが滑り落ちてしまいました。
続いて、“車体を斜めにして”曲がると、同じカーブにも関わらず、ペットボトルは動くことはなく落ちませんでした。
これは、空気のバネで車体を傾けることで、横方向にかかる力を弱められるという仕組みです。

シミュレータは、リニア中央新幹線の乗り心地を向上させる実験にも、使われています。
JR東海総合技術本部の森川昌司技術開発部長:
これまで東海道新幹線や在来線でいろいろな蓄積がございますので、そういった知見をリニアにも生かしながら、しっかりとした維持管理をする。新幹線をより安全に、より快適にするための技術開発を大きく進めているところです。
(東海テレビ)