宇宙ベンチャーの「ispace」が6日、アジアの民間企業初の月面着陸を目指し、月面着陸船「レジリエンス」で再挑戦した。会場には約550人が集まり歴史の瞬間を見守ったが、予定時刻後に通信が途絶えた。月面着陸船は十分に減速できず、月に衝突したとみられている。

550人見守る中「月面着陸」に再挑戦

アジアの民間企業として初となる月面着陸に挑戦した宇宙ベンチャー「ispace」は6日未明、その大きな一歩に向けた最重要局面を迎えた。

この記事の画像(11枚)

東京・千代田区で6日午前4時過ぎ、歴史的な瞬間を迎えようと会場に集まったのは、約550人の関係者たちだ。

ispace・袴田武史CEO:
今までのことをしっかりとやり切ったことを信じて、着陸の瞬間を迎えたいと思います。さあ、これから着陸です!一緒に見守っていきましょう!

アイスペースの月着陸船は、3年前にも月面着陸を目指し打ち上げられた。しかし、この時はソフトウェアに問題が発生し、月面から高度約5kmの地点を誤って月面と認識した。

着陸船は低速で降下を続けていたものの、燃料が尽きて落下し月面に衝突した。

今回そのリベンジとなる着陸船につけられた名前は「レジリエンス」で、「再起」という意味だ。

2025年1月15日、ロケットが「レジリエンス」を乗せて地球を飛び立った。約5カ月の航行を経て、「レジリエンス」は4日、月の上空約100kmに位置する軌道上を飛んでいた。

そして迎えた最終段階の日、念願の月面着陸に向け月の周回軌道を抜ける。

ispaceスタッフ:
月周回軌道の離脱マヌーバが確認されたということですね。順調に進んでいるようです。

徐々に近づく月面、その後も高度を下げていく。

ispaceスタッフ:
4km切りましたね。全てのスラスターが正常に噴射しているように見えます。

ここまでは順調だ。スタッフは祈るように通信画面を見つめる。

ispaceスタッフ:
予定時刻まで、あと1分切りました。

レジリエンスとの通信が途絶え…失敗を発表

ついに、月面着陸予定時刻の午前4時17分を迎えた。

ispaceスタッフ:
(着陸予定の)時間が来ましたが、確認が進んでおります。レジリエンスランダーとの通信を確認中ですね。

その後、「レジリエンス」との通信は途絶え、予定時刻を過ぎても着陸を確認できなかった。その後行われた会見で、今回の月面着陸は「失敗」と発表された。

ispace・袴田武史CEO:
通信の回復が見込まれず、月面着陸を確認するミッション2マイルストーン「Success9」の完了が困難と判断すると共に、結論としては着陸ができていませんので、着陸に関しては失敗という捉え方で問題ないかと。

なぜ計画通りに着陸できなかったのか。当時の状況について、担当者はこう分析している。

ispace担当者:
減速が十分にできていなかったということは、事実として分かっているところです。やはり月面に衝突したというふうに考えるのが、妥当だと思っています。

月面着陸船は十分に減速できず、今回も月に衝突したとみられる。三度目の正直となる次の打ち上げは、2027年に予定されている。

ispace・袴田武史CEO:
ここで私自身としても諦めることなく、しっかりと前を向いていきたいと思っております。
(「イット!」6月6日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)