石破総理の看板政策である「地方創生」を深堀りします。
その総理肝いりでスタートしたのが「地方創生伴走支援制度」です。中央省庁の職員が地方に出向き、地域課題の解決策を一緒に考えるという取り組みです。
今回はこの制度で、鳥取県北栄町を担当する国の若手官僚にスポットをあてます。
政治の中心、東京・永田町で取材を続ける安部記者の報告です。

安部大地記者:
石破総理が掲げる「地方創生2.0」。その中で具体的な取り組みが「地方創生伴走支援制度」です。
中央省庁の職員が地方創生支援官となり、副業的に地方自治体の政策に助言、まちづくりの課題解決をサポートする制度で、山陰でも島根県では美郷町、鳥取県では北栄町と八頭町が対象となっています。
支援官は、どのような思いで地方と向き合っているのか「地方創生2.0」の現在地を探ります。

東京・霞が関の経済産業省。
地方創生支援官・菊地洋貴さん:
予算について取りまとめて、財務省と調整したりですとか、各議員ですとか、説明しに行く資料を作ったりですとかもやっています。

菊地洋貴さん(33)、エネルギー政策や「官房三課」の一つ会計課で、予算要求の業務などに携わってきました。

「遅くなる時は遅くなるので、頑張ってこれで耐えています」

本来の国の業務と並行しながら、地方創生実現への重要な役割も担っています。
5月28日、菊地さんが訪れたのは北栄町。
「地方創生支援官」として、別の中央省庁の職員と3人1組のチームで北栄町を担当し、現地視察やオンライン会議で政策の助言をしています。
この日は初めての現地訪問。町が関係人口の創出を目指して取り組む「二地域居住」の拠点となる民泊施設などでヒアリングしました。

地方創生支援官・菊地洋貴さん:
平日とか関係なく来られます?

宿泊施設の代表:
関係ないですね。海外の方が多いですね。

まちの人の声に積極的に耳を傾ける菊地さん。支援官になった理由にも繋がっています。

地方創生支援官・菊地洋貴さん:
実際に考えた制度が本当に使いやすいものになっているのか、住民の皆様に届いているのか、福島に行った時にいろいろ感じるところがありまして。

千葉県生まれの菊地さんにとって、生活の中心は首都圏でしたが、復興庁に2年間出向し、福島第一原発事故からの復興事業に携わって以降、地方の見え方が変わったといいます。

地方創生支援官・菊地洋貴さん:
現場の声を聞いて、それを政策に生かしていくことがすごく大事なんだと感じましたし、改めて地域に関わって何かしらの伴走をしながら一緒になって走っていくことをやりたくして(支援官の)応募しました。

地方創生支援官・吉田隼さん(国土交通省):
空き家を買うということだが、所有権はどうする?

北栄町・岡本副町長:
安く借り上げることもあれば、買い取りは拒まれてなかなか難しい。

地方創生支援官・菊地洋貴さん:
そうですよね。

支援官の任期は1年で、今後も現地訪問やオンライン会議を続け、最終的に北栄町の抱える課題の整理や解決に向けた具体的な助言を行います。

北栄町・岡本副町長:
実際に肌感をもって地域にアドバイスをもらうこと、地方向けの施策を作っていくときに、肌感のある政策を作っていくことにいささかでも役立てばと思います。

安部大地記者:
地方創生の実現に向け、今週、官邸でも新たな動きがありました。

石破総理:
『ふるさと住民登録制度』を創設し、関係人口を活かした都市と地方の支え合いを進めていきます。

政府は「地方創生」について、今後10年間で取り組む「基本構想」案を示しました。「関係人口」の創出や拡大のため、都市部に住みながら特定の地域に継続的に関わる人たちを自治体が「ふるさと住民」として登録する制度を新たに作ることや10年後に首都圏から地方への若者の流れを倍増することなどを掲げています。

政府内では、具体的な数値目標を設け、地方とともに解決を目指す取組が盛り込まれたことを評価する声がある一方で、「例えるなら外科手術が必要だったのに、内科処置に留まった、もっと大胆なことをすべきだ」と、目新しさがないと指摘する声もあります。

安部大地記者:
石破総理は「地方創生2.0は全く新しいやり方で取り組みたい」と強調します。10年前と違うことをどのように示していくのか、今後、具体的な成果が問われることになります。

TSKさんいん中央テレビ
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