アジアの民間企業として初となる月面着陸に挑戦した宇宙ベンチャー「ispace」。
6日未明、その大きな一歩に向けた最重要局面を迎えました。

歴史的な瞬間を迎えようと会場に集まったのは約550人の関係者たちです。

ispace・袴田武史CEO:
今までのことをしっかりとやり切ったことを信じて着陸の瞬間を迎えたいと思います。さぁこれから着陸です!一緒に見守っていきましょう!

3年前にも月面着陸を目指し打ち上げられたispaceの月着陸船。
しかしこの時は、ソフトウェアに問題が発生し、月面から高度約5kmの地点を誤って月面と認識。
着陸船は低速で降下を続けていたものの、燃料が尽きて落下し、月面に衝突しました。

今回、そのリベンジとなる着陸船につけられた名前は「レジリエンス」。
「再起」という意味です。

2025年1月、レジリエンスを乗せて地球を飛び立ったロケット。
約5カ月の航行を経て、レジリエンスは4日、月の上空約100kmに位置する軌道上を飛んでいました。

そして迎えた最終段階の日。

念願の月面着陸に向け月の周回軌道を抜けます。
徐々に近づく月面。その後も高度を下げていきます。

スタッフ:
4km切りましたね。全てのスラスターが正常に噴射しているように見えます。

ここまでは順調。
スタッフは祈るように通信画面を見つめます。

ついに迎えた月面着陸予定時刻の午前4時17分。

スタッフ:
(着陸予定の)時間が来ましたが確認が進んでおります。レジリエンスランダーとの通信を確認中ですね。

その後、レジリエンスとの通信は途絶え、予定時刻を過ぎても着陸を確認できず。

その後、行われた会見で、今回の月面着陸は「失敗」と発表されました。

ispace・袴田武史CEO:
通信の回復が見込まれず、月面着陸を確認する「ミッション2 マイルストーン『Success9』」の完了が困難と判断するとともに、結論としては着陸ができていませんので、着陸に関しては失敗という捉え方で問題ない。

なぜ計画通りに着陸できなかったのでしょうか。
当時の状況について、担当者は次のように分析しています。

ispace担当者:
減速が十分にできていなかったということは事実としてわかっているところです。やはり月面に衝突したというふうに考えるのが妥当だと思っています。

十分に減速できず、今回も月に衝突したとみられる月着陸船。
3度目の正直となる次の打ち上げは2027年に予定されています。

ispace・袴田武史CEO:
ここで私自身としても諦めることなく、しっかりと前を向いていきたい。