5月30日に山形県の人口が99万9378人になったと発表され、105年ぶりに100万人を下回った。今後も人口が減り続けることが見込まれる中、これからどんなことが起こると見込まれ、私たちにできることは何かないのか、人口減少問題の専門家に聞いた。

一番の懸念は“地域生活のインフラ”の縮小
人口減少問題の専門家で、2025年に県がつくる「人口ビジョン」の作成にも携わった東北大学大学院の吉田浩教授によると、人口が減ることで最も大きな影響を受けるのは「地域経済」だという。

東北大学大学院・吉田浩教授:
人口が小さくなると、市場の規模が小さくなる。デパート・バスなどたくさんの人が使うことで成り立っている産業が存在しにくくなる。身近な所では、ガソリンスタンドが閉鎖されるなど、“地域生活のインフラ”がどんどん撤退してしまうという心配がある。

デパートやガソリンスタンドなどを維持するためには、大きな費用がかかる。
人口の減少に伴う採算割れや労働力不足で、県内ではこの10年間で廃業したガソリンスタンドが116店と、全体の2割に上る。
人口が減少することで、今後、買い物や暮らしが不便になることが考えられる。

“支えられる側”がなるべく長く“支える側”でいること
吉田教授は、人口が減少し労働力や経済が縮小していく中で、地域社会を維持していくために必要となるのは、これまで「社会に支えられる側」とされていた「高齢者の働き方の変化」だと考えている。

東北大学大学院・吉田浩教授:
総人口が減っていくのはすごく寂しくて不安に思う感じもある。支えられる高齢者と、支える若い人の比率をうまく維持できればいい。
高齢者は長く生きられる、元気な方が多い。支えられる高齢者が、退職時期を伸ばして生涯現役で支える側にまわる。
1年でも2年でも3年でも支える側に回ってもらうと、“支える人”と“支えられる人”の比率は大きく変わっていく。

地域のつながり再構築し「新しい総活躍」目指す
これまで県は、人口減少に伴う労働力不足を補うため、「外国人材」の受け入れ促進などに力を入れてきた。
しかし吉田教授は、「首都圏との外国人材の奪い合いに勝てる見込みは少ない」として、外国人労働者に頼れる部分には限界があると。

ゆえに、外国人に依存したり、ほかの地域から人を引っ張ってきたりするのではなく、県民が総スクラムで人口減少時代に対応していく、「新しい総活躍のシナリオ」が必要だと指摘する。
私たちに今できることは、何なのだろう。

東北大学大学院・吉田浩教授
“地域コミュニティ”を手放さない。もう一度、世代・個人・地域のつながりを社会的に再構築していく。人口減少時代でも十分幸せ感を持った地域として生き残れる。

吉田教授は、外国人労働者など外部に依存しなくとも、いますでに山形県が持っている「人材」と「地域の強み」を生かすことで、人口減少社会の中でも地域を維持することが可能だと話していた。

(さくらんぼテレビ)