ホテル運営会社「マイステイズ」は、7月1日から社名を「アイコニア・ホスピタリティ」に変更する。ビジネスホテルのイメージを刷新し、多様な宿泊施設運営を示す戦略の一環だ。観光客の地域分散やブランド強化を通じ、持続可能な観光業への貢献を目指す。
宿泊の多様化・観光地分散を社名変更で同時に推進
ホテル運営会社「マイステイズ」が、ブランドイメージを刷新。
新たな社名に込めた狙いに迫った。

マイステイズ・ホテル・マネジメント・山本俊祐会長:
どのようなタイプのホテルでも運営できる会社としてはマイステイズだけかなと。

29日、東京・港区で行われた、ホテルや旅館の管理運営をする「マイステイズ・ホテル・マネジメント」の記者説明会。事業戦略と共に新たな社名が発表された。

マイステイズ・ホテル・マネジメント・山本俊祐会長:
7月1日から会社名を変えるという決断をいたしました。その新しい会社名が「アイコニア・ホスピタリティ」。

これは、各地域のアイコンとなるようなオンリーワンの施設で、宿泊者にとって、アイコニックな宿泊体験を提供するという意味が込められている。
社名変更の背景について、山本会長は次のように話す。

マイステイズ・ホテル・マネジメント・山本俊祐会長:
最近ではリゾート・旅館・フルサービスホテル・ペットフレンドリーホテルが増えており、事業の領域を表すのに、ビジネスホテルのブランドが会社名だと、消費者にとって分かりづらい。

ウィークリーマンション事業でスタートした「マイステイズ」は、2016年にリゾートホテルの運営に本格参入した。
その後、「かんぽの宿」を「亀の井ホテル」にリブランド。「スパリゾートハワイアンズ」など、近年は様々なリゾートや旅館の運営に注力している。

しかし、設立当初からの“ビジネスホテルの会社”というイメージが強く、今回、そうしたイメージを刷新するため、新たな名前で日本をリードするホテル運営企業を目指す。

また、インバウンド需要が高まる中、事業戦略として、29日から全国170以上の施設で使えるロイヤリティプログラム(利用金額に応じたポイントサービス)もスタート。日本各地の観光地のPRに繋げたい考えだ。

マイステイズ・ホテル・マネジメント・山本俊祐会長:
特定の地域や特定の観光施設に、インバウンドの方をはじめとして、とにかく人が集中するということに大変な課題意識を思っており、分散する必要があると。
幸い日本には、素晴らしい観光資源が各地に散らばってますので、こういったものを伝えていくのがホテル運営会社の一つの務めかなと。
ブランド再構築で戦略の方向性と新ビジョンを明示
「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ブランドイメージの刷新、鈴木さんはどうご覧になりますか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
マイステイズは、リーズナブルな価格設定と多様な宿泊ニーズへの対応力が評価される一方、他の大手ホテルチェーンと比べると、全国的な知名度はやや控えめかもしれません。
今後は、「マイステイズ」ブランドの認知度と信頼性を高めながら、ホテルや旅館など、業態ごとのブランド強化を図っていくと考えられます。
堤キャスター:
企業にとって社名変更は、どういった効果が期待できるのでしょうか。
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
企業が製品ブランドは、そのまま維持しつつも、社名変更などのリブランディングを行うのは、幾つかのケースがあります。
例えば、分かりやすいのは、過去のネガティブなイメージから距離を取るためです。
あるいは、今回の「マイステイズ」から「アイコニア・ホスピタリティ」への社名変更のように、「より広い戦略的方向性や新たなビジョンの反映」といった、言ってみれば、“挑戦の決意”を新しい社名に込めるケースがあります。
全国展開を生かし混雑緩和・地域活性に貢献
堤キャスター:
その“挑戦の決意”とは、どういうことでしょうか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
2024年度のホテル・旅館市場は、約5.5兆円となり、過去最高を更新しました。
今後も訪日外国人の増加が見込まれる一方、オーバーツーリズムによる過度な混雑や、観光マナーの乱れが、地域に深刻な影響を及ぼしています。こうした課題への解決を図るには、観光客の地域分散が重要な鍵となります。
マイステイズは、北海道から沖縄まで全国でホテル運営を行っています。地域の特性を活かしたホテル運営や、多様な宿泊スタイルの提供を通じて、課題の解決に寄与したいとしています。
堤キャスター:
日本のホテル観光業が、持続可能な成長を図っていけるといいですね。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
そうですよね。観光ビジネスは経済成長・地域再生、さらには国際競争力の強化など、多方面において重要な戦略産業です。
マイステイズ改め、アイコニア・ホスピタリティが、観光立国・日本の持続的な成長に貢献することを期待したいです。
(「Live News α」5月29日放送分より)