秋田県内では特殊詐欺の被害が相次いでいます。県警察本部によりますと、2025年は4月末までに59件確認されていて、被害額は3億円超。件数・被害額ともに前年の同じ時期を上回っています。
SNSやマッチングアプリなど手口が巧妙化していますが、電話がきっかけになることも少なくありません。こうした被害を防ごうと29日、秋田市で不審電話への対応を学ぶ訓練が行われました。練習相手は警察官。実際に電話をつないで詐欺の手口を体験です。
秋田市内の管轄地域をパトロールする秋田東警察署手形交番の警察官。住宅を1軒1軒回り、住民に声をかけます。
住民の様子をうかがういつもの声かけですが、今回は少し違った提案がありました。
警察官:
「特殊詐欺の被害が非常に多いんですけど、どのように特殊詐欺に誘導されるのかを体験してみませんか?」
秋田東警察署は、パトロールで訪れた家の住民に不審電話への対応を体験してもらう訓練を企画しました。体験したのは、地域の町内会長を務める佐々木慶一さん(78)です。
離れた場所から犯人役の警察官が佐々木さん宅に電話をかけます。
犯人役:
「きのう警視庁の捜査一課から電話がありまして、あなたの口座が特殊詐欺で利用されていると聞きました。何か心当たりありませんか?」
佐々木さん:
「全くないですね」
電話会社を名乗る相手から着信があり、警視庁捜査一課に転送すると言われます。
犯人役:
「特殊詐欺事件の犯人の家の家宅捜索を行ったところ、あなた名義の口座のキャッシュカードを持っていたんです。あなたはこの事件に関与していませんか」
佐々木さん:
「全く関知はしていないんですけど」
インターネットバンキングの口座と暗号資産取引所のアカウントを作り、IDとパスワードを教えるよう求められますが、佐々木さんは「手続き前に110番させてもらいます」と慌てて行動せず、警察に相談すると判断しました。
佐々木慶一さん:
「実際電話に出た場合、思うようにいかないことが分かった。知らない番号からの電話は取らないと間違いなく徹底したい」
秋田東警察署生活安全課・庄司裕課長:
「地域の人たちに手口を周知して浸透していくことが大切だと思うので、継続して訓練を行っていきたい」
秋田東警察署は今後、毎月今回のような訓練を実施することにしています。