秋田県男鹿市の下水道工事現場で男性作業員3人が倒れ死亡した事故を受けて設置された、再発防止策を検討する委員会の最後の会合が29日、秋田県庁で開かれました。委員会は、酸素の欠乏と硫化水素の発生がともに起きたことが事故につながったと結論付けました。
男鹿市脇本の下水道管の補修工事現場で3月、補修が完了した管に汚水が流れるかどうかを確認する通水試験を行った際、マンホール内で作業していた男性と救助に向かった作業員2人が倒れ、その後死亡しました。3人の死因は、血液の流れが急激に悪くなり心臓に大きな負担がかかる急性循環不全でした。
事故を受け、県は3月に有識者などで組織する委員会を立ち上げ、事故原因の分析や再発防止策を検討してきました。
29日は最後の会合が開かれ、事故原因について、通水試験を行った際に下水管の中のポンプで汚水をくみ上げる「圧送管」の酸素濃度の低い空気が漏れて、酸素欠乏に陥った可能性があるとしました。また、作業員から「硫化水素の臭いがした」などの証言があることから、委員会は、酸素の欠乏と硫化水素の発生の両方が起きたことが事故につながったと結論付けました。
検討委員会の委員長を務める東京大学大学院の加藤裕之特任准教授は、「今回の事案は、今までなかった圧送管を通水するという全国的にも初めての事案だった。地下、特に下水管のような汚水が流れるところには危険が常にあるんだという意識を持ってほしい」と話しました。
県は報告書をまとめ、ホームページで公表することにしています。