桜といえば真っ先に挙げられる「ソメイヨシノ」。
ここ最近、全国で剪定(せんてい)や伐採が相次ぐなど異変が起きています。
430本ほどが植えられている東京・上野公園。
園内のあちらこちらで、剪定されたソメイヨシノが見られます。
公園を訪れていた人からは「結構パツパツ切られてるなって感じがする」「だいぶ短くなった、高かったけれど、こうやって見ると見やすくなっている気が」といった声が聞かれました。
なぜこの時期に剪定するのか、東京都東部公園緑地事務所・田中裕課長に話を聞くと「桜が終わったこの時期が、特に利用者の関係もありますが、枯れ枝を見つけて切ったりということは行っております」ということでした。
剪定を行うのは、落下する危険性や病気がある枝。
ソメイヨシノを長く維持するためには欠かせない作業です。
一方、春には都内屈指の数800本ほどのソメイヨシノが咲き誇る目黒川沿いでも、ソメイヨシノに剪定された跡がありました。
区によれば、目黒川沿いでは2025年度に180本ほどの剪定を予定。
また、倒木の危険性があるものは伐採も行っているということです。
理由について、目黒区みどり土木政策課・鶴田直人さんは「現在目黒川沿いのサクラは樹齢60~70年ほどたっている。樹勢自体もかなり弱ってきているのが現状。それに伴って保護活動、剪定伐採を行っている」と話しました。
実は今、こうしたソメイヨシノの老齢化が全国的に問題となっています。
日本樹木医会・小林明理事:
戦後の復興期に高度経済成長もあり、サクラ、特にソメイヨシノがよく植えられた。(樹齢が)60~70年になってきて、そろそろ寿命。危ない木が増えている。
2025年に入り、ソメイヨシノの老齢化に関連した事故が相次いでいます。
愛知・名古屋市では、4月15日に折れた桜の木の枝が走行中の自転車を直撃。
女性がけがをしました。
また、三重・四日市市で毎年開かれ、10万人ほどの人でにぎわう「桜まつり」も、2025年はソメイヨシノの老齢化を理由に開催取りやめに。
樹木医の診断では、約250本のソメイヨシノの老木の4分の3に、木が倒れたり枝が折れたりする可能性があるということです。
ことわざでは、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」といって、むやみに桜を切ってはいけないとされていますが、小林理事は「ソメイヨシノは強く育っていたから、今まで放置された状況が多かった。本当にソメイヨシノは『サクラ切るバカ』にならないといけない。『サクラ切るバカ』が必要なんです。古くなった桜を少しずつ植え替えて、継続していく時代に今ちょうど入っている」と話しました。