私たちの生活に、なくてはならない信号機。実は全国の2割以上が老朽化していて、倒壊する例も出ている。
そんな中、各地で老朽化した信号機を撤去する計画が進められているが、追いついていないという現状もあるようだ。一体なぜなのだろうか。
5年間で信号機11基が老朽化で倒壊…
今にも倒れそうな信号機。

根元から折れ、横断歩道をふさいでいるものも。

全国にある信号機の数は約21万基。
そのうち耐用年数の19年を超えているのは、2割以上の4万9000基。

この5年間で、全国で11基が老朽化で倒壊している。
そのため、警察庁は2024年から5年かけ、過疎化などで不要となった地域の信号機4200基以上を撤去する計画を実施中。
老朽化の原因は予算ひっ迫に…
2024年度、全国で撤去された数は679基に上ることが警察庁への取材で分かった。

老朽化が進む原因の1つは、更新に必要なお金。
かかる費用は、基本的には都道府県警察の予算で行われている。

信号機を動かす信号制御器の更新だけで、100万円から300万円。
少子高齢化などで予算がひっ迫している都道府県では、更新時期を先送りに。その結果、老朽化が進んでしまうのだ。

静岡県では2024年、信号機の倒壊が2件発生。
少子化などで廃校となった学校周辺など、不要な信号機の撤去を進めているということだ。
30年近く運用されてきた信号機も
その1つ、耐用年数を大きく超え、30年近く運用されてきた静岡・沼津市の信号機。

青や赤に光る部分の一部が欠け、その下を見ると、かなりさび付いているのが分かる。
毎日利用するという小学生は、「登下校するときはみんな使ってると思う。毎日使う。ちょっと遠回りで学校に着く時間が延びるけど、あそこ(別の横断歩道)から通ればいい」と話していた。

静岡県警本部交通部の奥野仁 交通規制課次席は、信号機の撤去を進めることのメリットを「静岡では昭和47年当時、1300基設置した信号機が現在は6800基。約50年で5倍以上に増えている。老朽化の進行に更新が追い付いていない状態。不要な信号機を撤去することで、交通の流れがスムーズになったり、信号無視の交通違反の防止にも効果がある」と強調する。
また、倒壊の危険性についても「本来、県民を交通から守る信号機が、逆に県民の生命・財産を脅かしかねない事態。現在、県警では必要性が低下した信号機を廃止するなど、持続可能な交通規制を強力に推進している」と指摘する。

警察庁は全都道府県警察に、不要な信号機の撤去と必要な信号機の更新に予算を充て、交通インフラを維持するよう指示している。
(「イット!」5月28日放送より)