自民・公明・立憲の3党は27日、年金制度改革法案の修正内容で合意し、厚生年金の積立金を活用して将来の基礎年金の底上げを図る方針が明らかとなった。
試算では若年層にプラスとなる一方、現在の高齢者の一部は受給額が減るとされ、該当世代の人からは不満や怒りの声が広がっている。
積立金活用で基礎年金底上げ策合意
自民・公明と立憲民主党との3党首会談が行われ、年金制度改革法案の修正内容について合意した。その合意案の試算で、年金給付額がマイナスとなる該当世代の方々に話を聞いた。

74歳:
それっておかしいですよね!
65歳:
さすがに(道理が)通らないと思う。デモでもなんでもやりますよ。
27日合意した年金制度改革法案の修正内容を受け、シニア世代から聞こえてきた嘆きや怒りの声。その声は石破総理にどのように届くのか。この法案を巡っては、21日の党首討論でこんなやり取りがあった。

立憲民主党・野田代表:
まさにアンコが入ってないあんパンを出してきた。年金の協議、真剣にやりましょう。
石破首相:
もちろん、真剣にやらせていただきます。
石破・野田の両トップによるこの論戦から一週間後の27日、午後4時過ぎから公明党を交えた3党首会談が開催され、法案の修正案が大筋で合意された。
石破首相:
本日の合意を踏まえ、年金改正法案の審議に引き続き真摯に対応し、法案の早期成立に努力してまいりたい。
合意内容の最大のポイントは、厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げ措置だ。現行の制度では、将来の基礎年金の給付額が長期にわたり低下する可能性が指摘されている。
そこで基礎年金の底上げに厚生年金の積立金を活用、4年後の財政検証でその底上げを実際に行うか判断するなどの対応を法案の付則に明記する。

この底上げが実際に行われた場合、現行の制度とどれくらい給付額に違いがあるのかを厚労省が試算したグラフがある。
現在40歳の女性が65歳から平均寿命まで受給する場合のモデルケースで「295万円」プラスになっている。就職氷河期世代にあたる50歳男性の場合でも「170万円」現行制度よりプラスになるとしている。
63歳以上減額試算に高齢者が不満
一方で、現在63歳以上の男性や67歳以上の女性の場合は、現行より受給額がマイナスとなり、70歳男性では総額で「23万円」目減りするとしている。

合意した修正案では厚生年金の受給額が減る場合、緩和する対応を取ることを法案の付則に明記するとしているが、この試算で「マイナス」に該当するシニア世代に、修正法案をどう思うか聞いてみると、多くの人が怒りや疑問の声を上げていた。
73歳:
良くないですよね、それは。みんな積み立てしてきているのに減ってしまうっていうのは。何のためにって思っちゃう。
72歳:
今の状態だとお米も高いし、食べていけるのかなと。不安ですよね、不安だらけ。
74歳:
反対…もう反対ですよ!一回うちに来てもらいたい、庶民がどんな生活しているか。夢も希望もないような生活。
一方、年金制度に詳しい専門家は、厚労省の試算も含め現実的な制度改革だと一定の評価をしている。

社労士・渋田貴正さん:
若い世代からしたら将来のことで実感が湧かないとはいえ、得するんだろうなということで国全体で見るとメリットのある制度改革なのかなというところです。
その上で制度の実施には厚生年金の積立金以外にも税金による財源が必要で、その手当てについての課題も挙げた。
(「イット!」5月27日放送より)