セブン&アイがで外国人初の社長デイカス氏を選任。経営刷新とグローバル化を進める中、カナダの大手クシュタールからの買収提案も検討対象に。今後はコンビニ事業強化とともに、収益性や環境対応など多面的な課題への対応が焦点となる。
セブン&アイが新社長就任で経営体制を刷新
カナダのコンビニ大手から買収提案を受けているセブン&アイが、株主総会で新たな経営体制を採択した。

セブン&アイ・ホールディングス27日、東京・千代田区の本社で株主総会を開催した。

2024年の倍以上となる887人が参加し、会社側が次期社長として提案したスティーブン・ヘイズ・デイカス氏を含む、13人の取締役選任議案を賛成多数で可決。

その後の取締役会で、デイカス氏が社長に選任された。
株主:
減益続きの状況で、新しい人員体制だとか新しい取り組みとか、明快に株主に説明してましたから、それを株主としては期待。

株主:
もっと買収の話でるかと思ったんだけど出なかった。それが大きなメインなんだけど。

カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているセブン&アイ。

株主に対し、「建設的な協議および当社独自の施策の着実な実行という、二つの選択肢を常に比較検討しながら、並行して追求していく」と説明した。

株主:
想定通り。まだまだ先見えないと思うんで、引き続き注視ですね。

今後、新しい経営体制のもと、コンビニ事業に注力して、企業価値の向上を図ることができるかが焦点だ。
改革とグローバル化促進に収益力・環境対応が課題
「Live News α」では、大阪公立大学客員准教授の馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
新しいトップのもと、経営の刷新を図るとのことですが、馬渕さんはどうご覧になりますか?

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
初の外国人社長となるスティーブン・デイカス氏は、ウォルマートでの経営や、日本企業でのトップ経験も豊富です。
この人事は、グローバルな視点や経営改革の加速、海外投資家へのアピールを狙ったものかと思います。
堤キャスター:
今、なかなか厳しい経営環境にあるようですね?

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
そうですね。金融の目線で言うと、投資家から預かったお金でどれくらい稼いでいるのかを示す、セブン&アイのROE・自己資本利益率を見ると、過去5年平均で6.4%となっています。
グローバルの小売業界の平均は12~16%なので、大幅に下回っている状況です。
国内ではコンビニ事業の成長鈍化や、物価高・節約志向といった外部環境の変化への対応に迫られています。
また、海外では北米・アジアでのM&A戦略など、収益モデルを再構築する実行力が求められます。
買収か独自路線か…経営の姿勢が焦点
堤キャスター:
カナダの大手コンビニ、クシュタールから買収提案を受けていますが、これについてはいかがですか?

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
買収提案を受け入れるか、独自の成長路線を取るのか、選択を迫られている状況です。
夏頃までにクシュタールは、事業計画を盛り込んだ買収提案を再度出す可能性があります。セブン側としては中期経営計画を出す見通しです。どちらの案が株主にとって有益か、見極めが必要になってきます。
さらにクシュタールは今、セブンの加盟店オーナーに接触して、加盟店オーナーを取り込む動きがあります。ただ、セブンとクシュタールが一緒になるには、アメリカの独占禁止法への対応が必要になります。
具体的には、互いにアメリカで展開しているコンビニ店舗を整理する必要があるなど、現時点で買収成立の確実性は不透明です。
日本国内では、セブンが外資になること自体が直ちに問題とは言い切れませんが、コンビニは生活インフラでもあり、経済安全保障としての問題、さらには、地域経済に対する雇用への影響など、多面的な課題やリスクが多く存在します。
単なる経済合理性だけでなく、総合的に判断する経営が求められていると思います。
(「Live News α」5月27日放送分より)