
過疎化が進む人口約970人の西米良村。この地にある観光施設「おがわ作小屋村」には、連日人が訪れる人気の看板メニューがある。手間暇かけて作られる16種類の小皿の数々には、伝統の味を守り、集落の未来をつなごうと奮闘する地元の女性たちの、切実で温かい思いが込められていた。
地元の食材がメニュー
宮崎県の中央部、九州山地に抱かれた西米良村。

四季折々の自然を楽しめる村には、どこか懐かしい風景が広がる。

そんな村に、年間約17000人が訪れる人気の観光施設「おがわ作小屋村」がある。地域の存続と活性化を目指して2009年にオープンした施設で、小川地区の住民が中心となり運営している。

看板メニューはオープン当初から愛され続けている、16品の小皿が並んだ「おがわ四季御膳」。小川地区に住む20代から80代までの女性7人が毎日交代で勤務し、地域の味を守り続けている。
取材した日、台所に立っていたのはオープン当初から働く村内出身の上米良みな子さんと、8年前に宮崎市から移住した猪野洋子さん。

献立の主役は西米良村の山の幸だ。猪野さんは「きょうは何を収穫してくるかわからない。誰かがワラビをとってくればワラビ料理にするし。いきなり持ってくるから、全然予定が組めない」と笑う。
採れたての食材を提供したい、地元の生産者を応援したいという思いから、16品の献立は全員で知恵を絞り、旬の食材を最大限に活用している。
継承される伝統と地産のジビエ
16品の中でも、地域の味を引き継いだという「小川豆腐」は人気の一品だ 。

かつては村に豆腐屋があったが、高齢になり体力的に豆腐作りが難しくなったため、婦人会で引き継いだという。

また、西米良村ではシカやイノシシの被害が多く、村の特産品となっているジビエもメニューに組み込まれている。ジビエと知らないまま食べ、帰るときに「何の肉やった?」と聞かれることが多いという。
過疎化が進む小川地区の人口は、現在61人にまで減少した。集落が存続していくために、四季御膳が果たす役割は大きい。

上米良さんは「とにかくここが無くならんように。それが一番。その上で皆さんに喜んで食べていただけたら、もう言うことない。嬉しい。これを守ることによって、村から人が出ていく、人口が減るのを止めるという意味もあるかな思う」と話す。

食を通じて集落の灯を絶やさない――。そんな強い覚悟で引き継がれる「おがわ四季御膳」には、作り手の優しさと、西米良村ならではの豊かな恵みが詰まっている。
「おがわ作小屋村に来てくりゃい~」
おがわ作小屋村平日(午前10時30分~午後2時)土日祝(午前10時30分~午後3時)※木曜定休日電話:0983371240
(テレビ宮崎)