『家庭教師のトライ』を運営する会社が、オンライン教材で「水俣病は遺伝する」と
事実と異なる記述をしていた問題についてです。
会社側は、ホームページで「不正確な表現となった」としておわびした上で問題の教材を非公開としましたが、被害者団体は「なぜこのようなことが起こったのか」、説明を求めています。
【水俣病被害者・支援者連絡会事務局 元島市朗さん】
「70年もたって、こういう水俣病に対する無理解があることについては、がくぜんとする」
水俣病被害者・支援者連絡会によりますと、『家庭教師のトライ』を運営するトライグループが提供していたオンライン学習サービス『トライイット』の中学生向け「歴史」の中で、水俣病について『この病気が恐ろしいのは、遺伝してしまうことです。
妊婦さんが水俣病にかかり、生まれてきた赤ちゃんまでもが発症することがありました』と事実と異なる記述をしていたということです。
水俣病は、チッソ水俣工場の排水に含まれていたメチル水銀に汚染された魚介類を食べたことで起こる中毒症です。
胎児性患者は妊娠中の母親が摂取したメチル水銀が胎盤を通って胎児に取り込まれたことで被害に遭ったもので、遺伝によるものではありません。
連絡会は、4月末にはこの問題を把握。「誤った記述は差別や偏見につながり、被害者をさらに苦しめることにもなりかねない」として会社側に訂正を要求。
さらに、連絡会からの情報提供を受け、環境省も5月14日付で訂正を求めていました。トライグループは5月23日付でホームページに「水俣病が遺伝するという事実はなく、不正確な表現となったことをおわびの上、訂正いたします」とのコメントを発表。
問題の教材は「非公開とした」としました。一連の対応について連絡会は…。
【水俣病被害者・支援者連絡会 事務局 元島市朗さん】
「民間といえども教育機関なので〈誤っていたら誤っていた〉と認め、〈こう改善した〉と周知すべきだと思うが…」
連絡会は「なぜこのようなことが起こったのか」、会社側に説明を求めています。
水俣病をめぐっては宇城市が全世帯に配布したカレンダーに「感染症である」と
誤った表記をしたことが今年3月に判明し、市が謝罪しています。
今回の問題について先ほど、木村知事は「誤った情報が配信されていたことは、
誠に遺憾。トライグループに対しては正しい情報の発信等の今後の対応について
申し入れを行いたいと思う」とのコメントを発表しました。