岩手県大船渡市の大規模な山林火災は発生から5月26日で3カ月です。
現地では仮設住宅がすべて完成し、被災した人たちが生活再建への一歩を踏み出しました。
大船渡市三陸町綾里の避難所では、5月24日、ここで3カ月生活してきた一家が荷物を運び出していました。自宅が全焼した泉さんの一家です。
仮設住宅は避難所から車で数分の旧綾里中学校に建設されていて、24日に入居が可能となりました。
4人家族の泉さん一家。間取りは3Kで決して広いとは言えませんが、安堵した表情を見せていました。
長男 泉 実輝さん(10)
「新しい感じがとてもワクワクしてうれしいです」
泉 惠さん(45)
「すごくここ一番喜びが顔に出ている感じで、はしゃいでいる雰囲気が伝わってきて、家族だけで過ごせる場所が手に入ったんだなとホッとした気持ちが一番です」
冷蔵庫やテレビなど家電6点は県が用意しています。
新たな拠点を確保した泉さん一家は、生活の再建に向けて歩みを進めたいと考えています。
泉 惠さん(45)
「前の家があった場所に一日も早く自分たちの家を再建したい気持ちがあるけれど、公費解体とか全然進んでいないので、その間に次の家族の道しるべをゆっくり考えていきたい」
綾里地区の仮設住宅には19世帯が入居します。
自宅や倉庫が全焼した漁師の熊谷紀弘さん(63)は、これまで親族の家で過ごしていましたが、両親と3人で仮設住宅に入りました。
寝るスペースを確保しやすくなったと安堵しています。
熊谷紀弘さん(63)
「今度はきちんと寝るところある、それが一番。これからやることいっぱいある。これが第一歩」
火災の後は漁船の船外機を盗まれるなど苦難が続いた熊谷さん。
今回の火災で土砂災害への懸念が高まったことから、自宅をどこに再建するかはまだ見通せないと言います。
熊谷紀弘さん(63)
「前のところには建てられないから、雨降ると土砂が崩れそうで。やっぱり別のところに建てる感じになる」
山林火災発生から3カ月。
市によりますと、蛸ノ浦地区に設けられた仮設住宅には7世帯、公営住宅と民間の住宅を活用するみなし仮設には、あわせて30世帯が入居し、生活再建への一歩を踏み出しています。