島根・松江市に5月22日にオープンした「ネコカフェ」。ここで迎えてくれるのは、一時的に保健所に収容された「保護猫」たちだ。
このカフェには、『新しい飼い主との出会いの場に…』という願いも込められている。カフェに携わった人たちの思いを取材した。

ネコたちがのんびり過ごす空間 実は…
気ままに遊びまわり…のんびりとくつろぐネコたち。ここにいるネコは15匹、実はすべて検査などを終えたいわゆる「保護猫」たちだ。

松江市に5月22日にオープンした保護猫カフェ「猫猫(にゃーにゃ)の森」。
16日にはプレオープンとして、近くにある高齢者施設の入居者が訪れネコたちと触れ合った。
高齢者たちを迎えてくれたのは、個性豊かな15匹のネコたち…保健所に保護され、一時的にボランティアのもとで過ごしている「保護猫」だ。

保護猫と新たな家族が出合う空間に
訪れた人たちを癒してくれる”スタッフ猫”として常駐している。
ぷらす工房・川西裕さん:
ほとんどのネコが新しい家族を探しているので、ここで人慣れをしてもらい新しい家族が見つかるようなカフェになればいいかなと思います。

このカフェを開いたのは、松江市の「ぷらす工房」。障害者支援の作業所を運営している。
作業所をリノベーションし、その一角を「保護猫カフェ」に改装した。
リノベーションを手がけたのは、松江市の家具メーカー「ウッドスタイル」だ。実は社長の西村さんは、大のネコ好き。好きが高じてオリジナルブランドを立ち上げ、ネコ専用の家具を製造、販売している。さらには、同じネコ好きの住宅メーカーの社長と共同で、人とネコが共生できる住宅を作ってしまったほどだ。

ウッドスタイル・西村幸平社長:
ネコ6、人間4くらいの割合で、快適に過ごせるように作りました。特に島根県は保健所以外に公の場はないので、こういう所ができれば、ここが(保護猫引取りの)拠点になってくれたらと思う。

処分されるイヌやネコを少しでも減らしたい…
コロナ禍の巣ごもり生活でイヌやネコを飼う人が増加…しかし、日常の暮らしが戻り始めると、ペットを手放す人も増加。
2024年、山陰両県では、約350匹のイヌやネコが保健所に引き取られ、100匹以上が収容後に病気で死んだり、処分されたりして命を落としている。

こうした悲しい末路をたどるペットを少しでも減らすため作られたのが、この「保護猫カフェ」だ。
ここで出会って「お気に入り」になったネコがいれば、2週間のトライアルで相性を確かめたあと、新しい飼い主として迎えることもできる。
さらにぷらす工房の川西さんは「地域のみなさんの癒しの場になればいいかなと思います。高齢者のみなさんにとってもアニマルセラピーにもなるかと思います」と話し、ネコの癒しを高齢者や障害者の生きがいにもつなげたい考えだ。

高齢者のアニマルセラピー 障害者の働く場としての役割も
デイサービス利用の高齢者とふれあいの機会を設けるほか、障害のある人たちがカフェの運営スタッフに…就労支援施設として働く場を提供している。
ぷらす工房・川西裕さん:
もともと代表がネコ好きでして、それに加えて障害者の就労支援の場をやるとなったときに、ほかであまりやっていない保護猫に特化したカフェをしようと思った。
障害のあるなしに関わらず、誰もがネコと快適に過ごせるように、設備にはさまざまな工夫がこらされている。

坂西美香アナウンサー:
大きいですね。
株式会社ウッドスタイル・西村幸平社長:
これが、ネコカフェのシンボルになるんです。一応ベンチにもなっていて座れるんですよ。キャットタワーにもなっていて、こう上がってキャットウォークにつながっていく。
カフェの真ん中に作られたキャットタワー。高さは約2.5メートル、ネコと人が集まるカフェのシンボルです。

株式会社ウッドスタイル・西村幸平社長:
障害者支援の場でもありますので、鍵もちょっと工夫して簡単に開閉ができるようにしました。
ドアの下の部分には透明なガラスを使って、ネコがいるかどうか誰にもわかりやすく。ロックは、障害者のスタッフも簡単に開け閉めできる構造となっている。
また床はバリアフリーに…車いすでも動きやすい空間づくりにこだわったとしている。

保護猫カフェ「猫猫の森」は5月22日にオープン。事前の予約は不要で、毎週水曜日と年末年始を除き毎日営業されている。
(TSKさんいん中央テレビ)