覚醒剤を所持した疑いで逮捕された男が、警察官が居眠りをしていた隙に取調室から逃走。Mr.サンデーは、逃走する男を捕らえた防犯カメラの映像を独自入手した。

男の後を追い、署から警察官が続々…

Mr.サンデーが独自に入手した、防犯カメラの映像。

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時刻は24日午前9時36分。神奈川県の川崎警察署内から警察官が続々と飛び出してきた。映像で確認できるだけで、その数20人以上。慌てた様子で走る警察官の姿も確認できる。

さらに、警察署から数百メートル離れた別の防犯カメラに映っていたのは、走る人影につづいて、逆方向から走ってくる別の人物。

目撃者:
警察官が「逃げるな!」とか「待て!」とかってやってた。

逃げていたのは、警察署内の取調室から逃げ出した男だった。

24日午前4時半過ぎ、川崎市内の交番に自首してきたのは、市内に住む高井康平容疑者(32)。

「覚醒剤をやっている」と、覚醒剤が入った袋を所持していた高井容疑者は、現行犯で逮捕された。自首をした理由については、「今となってはよく分かりませんが、人に対して感謝する気持ちがなかったので、反省して自首しにきました」と、反省の弁ともとれる発言を口にしていたという。

その後、川崎署で取り調べが行われた際、事件は起きた。

取り調べが終わり留置場に移動するのを待つ間、監視を担当していた警察官がうっかり居眠り。高井容疑者はその隙をつき、腰縄をほどくと、取調室から出て行き、逃走。この時、ドアの鍵はかかっていなかったという。

この状況について、元神奈川県警捜査一課長で川崎署の署長を務めたこともある鳴海達之氏は…。

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏:
取調室には鍵がついていないので、扉を閉めて行うのが大体決まり事ですから、腰縄をしたままで取り調べる時は手錠を外します。腰縄の末端を椅子に巻きつけて、取り調べを始める。(留置場に入れる)準備を待っているのもそんなに長い時間ではない。手錠をしないで取り調べが終わった状態(手錠なし)で待っていたんだろうなと思います。

居眠りした警察官が物音に気がつき目を覚ますと、高井容疑者がいなくなっていて、大勢の警察官らが署を飛び出していた。

警察官が「逃げるな!」「待て!」“挟み撃ち”で確保

取調室にいた容疑者の逃走を許すというありえない失態。だが、逃走劇はあっけない幕切れを迎える。

逃げた高井容疑者は、警察署から約50メートル離れた場所で警察官によって発見されると、約200メートル離れた路地で逮捕された。逃走した高井容疑者は、路地の先で警察官に追いつかれ、確保されたという。

逮捕直前の様子をとらえた防犯カメラ映像には、警察官とみられる人影が走り去ったあと、逆方向から逃げる高井容疑者とみられる男の足が捉えられていた。

現場付近にいた人は…。

目撃者:
ここで仕事してたら、こっちから声が聞こえてきた。警察官が「逃げるな!」とか「待て!」とかってやってた。

さらに、異変に気がつき、様子を見に行った人は…。

別の目撃者:
(容疑者のものとみられる)白い靴が離れて置いてあった。靴が脱げて、そこで捕まった。
――警察官は何人ぐらい?
10人ぐらい来ていた。

目撃者によると、警察官は高井容疑者を挟みうちにして確保したという。

逃走劇が繰り広げられたのは、小学校の目の前。この日は運動会が開かれていたという。

住民に危険がおよぶ可能性もあった今回の逃走事件だが、なぜ警察官は取調室の中で居眠りしてしまったのか。

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏:
土曜日の明け方だから、もう当直の体制。当直は、泊まっている人数が決まっていて、それ以外に中に署員はほぼいない。そんなに(取り調べに)人数をかけられるわけではない。前日の金曜日の夜からずっと当直をやって、(午前)4時に出頭してきたものを取り調べて(午前)9時となってくると、ほとんど一睡もしていないから、時間になると睡魔が襲ってくるということは考えられますから。それでちょっとした気の緩みはあったかと。

今回の事件を受け、警察は、居眠りしてしまった警察官に対し注意を行い、再発防止に努めるとしている。
(「Mr.サンデー」5月25日放送より)