続いては起業家たちの熱き戦い、という話題です。世界最大級のビジネスコンテスト『スタートアップワールドカップ』。その九州予選が、去年に続き熊本で開催されます。新興企業がビジネスやアイデアを競うこの大会。23日の予選を前に、前回大会の模様をお伝えします。
「優勝に輝いたのは…ステープルバイオ!」
創業して間もない<新興企業>昨今では<スタートアップ>とも呼ばれます。
その起業家たちが、自社のビジネスやアイデアを競う世界最大級のビジネスコンテスト『スタートアップワールドカップ』
アメリカのシリコンバレーを拠点に投資活動を展開する『ペガサス・テック・ベンチャーズ』が開いている世界大会で、去年、初の九州予選が熊本で開かれました。
予選に出場した企業が目指すのは、アメリカ・サンフランシスコで開催される世界大会への切符です。約230社の新興企業が応募。世界一になった企業にはなんと…およそ1億5000万円の賞金が与えられ、今後のビジネスに活用することができます。
熊本で行われた九州予選には、熊本大学発の新興企業『StapleBio(ステープルバイオ)』が出場し、優勝しました。
【StapleBio勝田陽介さん】
「僕がやりたいことはシンプルで、心おどるその先の未来を、僕たちが開発した薬で克服した希少疾患の患者さんと共に酒でも飲みながら<俺たちはよく頑張ったな>という世界をみんなで見るのが僕の夢であり、この会社のミッション」
『StapleBio(ステープルバイオ)』の創業者で熊本大学准教授でもある勝田陽介(かつだ・ようすけ)さん。研究室に所属する学生たちと共に様々な希少疾患に効果のある薬を研究しています。
【StapleBio勝田陽介さん】
「僕らをはじめとしたベンチャーが薬を本気で開発しようとしていると知ってもらうことで、彼ら(希少疾患の患者)の希望になるかもしれない。<ちょっとだけでも長生きしよう>と思うきっかけになるかもしれない。その間に誰かが薬を作るかもしれないので、そのようなきっかけになりたい。ただそれだけ」
【研究室に所属する谷口凜々花さん】
「疾患を治すのは医師や看護師、薬剤師だけだと思っていたけど、私たちが(DNAなどを活用した)核酸医薬を開発することで、いま苦しんでいる方々の命を一人でも多く救う可能性があることを知って〈私も研究者として研究に携わっていきたい〉と思い、(勝田さんの)研究室に入った」
アメリカ・サンフランシスコで去年10月に開かれた世界大会。勝田さんは世界一こそ逃したものの、100を超える国や地域から集まった人々を前に最新の研究成果とその思いを語りかけました。
帰国後、熊本市の大西市長に世界大会の模様を報告した勝田さん。世界とは研究を取り巻く資金面やビジネスの規模で圧倒的な<差>を感じつつも、夢である薬の開発へより気持ちが高まったといいます。
【StapleBio勝田陽介さん】
「僕が本当にやりたいことは薬を作ることを目標にしている。薬を作るために<差>を感じることは非常に大事な経験だった。研究に集中して早く薬を作りたい」今年も熊本で開かれる『スタートアップワールドカップ九州予選』。100社を超える応募の中から11社がファイナリストとしてプレゼンテーションを行います。
熊本からは、食事の味を変えずに塩分の吸収を抑制する技術を開発した『トイメディカル』。そして、様々な形式の発注書や注文書を管理する画期的なシステムが特徴の『エルボーズ』が出場します。
<熊本から世界へ>多種多様なビジネスを展開する新興企業がアメリカでの世界大会を目指し、23日、3分30秒の舞台で火花を散らします。