熊本地震からの復旧工事が続く熊本城です。

国の重要文化財に指定され、『第3の天守』とも言われる宇土櫓の木造部分の解体が22日、終わりました。

【郡司琢哉アナウンサー】
「前回、去年の年末に訪れた時は軸組だけになっていた宇土櫓が、すっかりなくなってしまっています」

解体工事が公開されたのは、熊本城宇土櫓の工事用の素屋根内部です。
宇土櫓は2016年の熊本地震で柱や床が傾くなどの被害が出て、おととしの12月から再建に向けて建物全てを解体する工事が行われてきました。

【2023年12月 シャチホコの取り外し】

【2024年8月 瓦の取り外し】

【2024年12月 軸組部分の解体始まる】

そして22日、建物地下部分に残った最後の柱を取り外す工事が行われました。

【郡司アナウンサー】
「コンクリートの基礎部分に差し込まれていた柱がクレーンでつり上げられました。
これで宇土櫓の建物を構成していた全ての木の部材が外されたことになります」

部材は素屋根内部に保管されます。

柱は231本で、そのうち約80本は江戸時代のものとみられています。
ただし、これらの部材には地震による被害のほか、シロアリによる傷みがあるものもあり、再建の際に一本一本使えるかどうかが判断されます。

解体工事に携わった大工の棟梁は…。

【郡司アナ】
「率直に作業を終えてどうですか?」
【大工 猿渡 信浩さん】
「めっちゃホッとしています。解体する時は自分の頭の中で組み立ても考えながらするので、頭の中では(櫓が)建っている」

また基礎部分のコンクリートは、前回建物全てを解体した昭和2年の工事で再建された時に造られたもので、今回約100年ぶりに姿を現しました。
亀裂は熊本地震によるものとみられています。

【熊本城総合事務所 復旧整備課 上村祐一課長】
「(建物が)いったんなくなったということについては寂しい気持ち。しっかり設計を進めて復旧工事を目標とする令和14年度(2032年度)までに完了したい」

宇土櫓は来年1月までにコンクリートの基礎部分を解体し、2028年度から建物を再建する工事を行う予定です。
工事完了は2032年度の予定です。

また、今日は『北東櫓群』と呼ばれる『東十八間櫓』 など3つの重要文化財建造物があった場所の、石垣解体工事開始の様子も報道公開されました。
このエリアは熊本地震の際、城内で最も石垣の被害が大きかった場所で、東十八間櫓は石垣と共に崩れ、下の熊本大神宮の社務所を押しつぶしました。
解体を前にした発掘調査では、石垣の内側に別の石垣が築かれていたことが新たに分かり、土砂の中から江戸時代の瓦や陶磁器のほかに明治時代の銃の部品も見つかったということです。

今後、石垣の解体、積み直し、建物の再建へと続き、このエリアで全ての工事が終わるのは2037年度の予定です。

宇土櫓は去年春から月に1回、毎月第2日曜日に特別公開が行われていて現在の様子を間近に見ることができます。

次回の公開は6月8日(日)、ヘルメットは不要ですが入園料が必要です。

テレビ熊本
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