車をバック走行させ、女性2人をはねて死傷させたとして、危険運転致死傷罪などに問われている男の裁判員裁判が5月21日に結審した。検察は男に懲役12年を求刑した一方、弁護側は「危険運転致死傷罪は成立しない」と改めて主張した。

争点は危険運転致死傷罪の成立の可否

元ホストクラブ従業員・松本岳被告(24)は2024年6月15日の早朝、熊本市中央区細工町の県道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転しトラックに追突。

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現場から逃走しようと、車の走行を制御することが困難な時速70キロ以上で約240メートルにわたって車をバックで走行させた後、歩道に突っ込み、熊本市職員の横田千尋さん(当時27)を死亡させ、横田さんの友人の女性にけがをさせた罪に問われている。

5月19日に始まった裁判員裁判では危険運転致死傷罪が成立するかどうかが争点となっている。

時速約70キロのバック走行は制御困難か

21日の論告で、検察は「単にバック走行したことではなく、時速約70キロの高速度でバック走行し、車が制御困難になったことが事故の原因で、危険運転致死傷罪が成立する」とし、懲役12年を求刑。

また、被害者参加制度を利用して裁判に参加している、亡くなった横田さんの父・邦祐さんの代理人弁護士は「松本被告がルールを破り、無謀な運転をしたことで、横田さんを死亡させていて、遺族の悲しさや悔しさ、無念は今後もご遺族の人生に影を落とすものになるだろう」とし、懲役20年が相当という意見を述べた。

一方で、弁護側は「制御困難な状況に陥ったのは、速度ではなくバック走行が主な原因であり、危険運転致死傷罪には当たらない」と改めて主張した。

また、証言台に立った松本被告は「愚かで身勝手な運転により、横田さんの尊い命を奪ってしまい、本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。

判決は、5月27日に言い渡される予定。

(テレビ熊本)

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