天台宗の寺院で性暴力を受けたと女性から訴えられた男性僧侶が、性暴力については認定されなかったものの、「不適切な関係を続けた」として、処分された問題。
21日、住職を罷免された男性僧侶が会見を開き、「認識と違う」などと女性の訴えを否定しました。
■尼僧の叡敦さんから「約14年間にわたって性暴力を受けた」などと訴え
男性僧侶は去年、寺で一緒に生活していた尼僧の叡敦さん(50代)から、2009年から「約14年間にわたって性暴力を受けた」などと訴えられました。
去年1月、叡敦さんは、次のような、男性僧侶の発言とされる録音データを公表していました。
【男性僧侶とされる音声】「仏さんはエッチはしてくれんよ。エッチで悩んでいる人がおったら、代わりにお前がエッチしてやらないかんと」
叡敦さんは、男性僧侶が自らを“観音様の身代わり”などと話し、心理的に支配されていたと主張。
寺で繰り返し性的暴行を加えられたほか、尼僧として寺に住むことを強制され、毎晩、髪をそられていたと被害を訴えています。
■天台宗が調査の結果「婚姻関係ないのに夫婦同然は不適切」住職を罷免も性被害「確認取れなかった」
天台宗は叡敦さんから男性僧侶の僧籍をはく奪するよう申し立てを受け、調査を実施。
ことし4月、男性僧侶について”婚姻関係がない叡敦さんと寺で十数年にわたって夫婦同然の生活をしていたことは不適切”などとして住職を罷免しました。
一方、性加害の有無については、「確認が取れなかった」などとして認定しませんでした。
この処分は、期限までに不服申し立てがなく、確定しています。
■性加害「不認定」は「正しく判断してもらった」「罷免の処分は重く受け止める」
この処分を受けて男性僧侶は21日会見を開き、叡敦さんの訴えについて「認識と全く違う」と否定したほか、性加害の認定がされなかったことについて「正しく判断してもらった」とした上で、「罷免の処分は重く受け止める」と話しました。
【罷免された男性僧侶】「性加害行為においてはこれまで高松地方検察庁においても嫌疑不十分により不起訴処分を受けていますが、天台宗審理局第一次審判所においても確認できなかったと正しく判断していただきました」
「今回の懲戒処分を重く受け止めて深く反省し、師匠の指導の下、僧侶として修業に励みたいと考えております」
会見を開いた理由について、代理人の田渕学弁護士は「我々が調査して得た情報、事実を皆様にお知らせすべきだろうと。不名誉な形で伝わっている事実について、『そうではない』と伝えるべきということで今回会見を開いた」と話しました。
また、男性僧侶の発言とされる音声について、代理人は男性僧侶と叡敦さんが口論になった際のものと認めましたが、その前にかわされた2人の会話の中で出た内容を用いた”例え”だったと釈明。
「性のことで悩んでいる信者がいれば、観音様に代わって相談に乗ってあげるのが僧侶であると伝えたにすぎない」と、叡敦さん側の主張に反論しました。
今後の対応については、代理人によると男性僧侶は「私は僧侶で、人を助けるための僧侶であって、相手に対して名誉棄損で訴えることまでは考えていません」と話しているということです。