日本原電は19日、廃炉作業中の敦賀原発1号機について、完了時期が7年遅れることを県に報告しました。原子炉建屋にある大型機器の解体作業が進んでいないためで、廃炉完了時期は当初の2040年から2047年になる見込みです。
日本原子力発電の坂井毅志敦賀事業本部長は19日、県の坂本裕一郎防災安全部長と面談し、敦賀原発1号機の廃炉完了が当初の予定よりも7年遅れる見込みであることを報告。「当初の計画通り遂行できず、県をはじめ地域の皆様にご迷惑をかけていることをお詫び申し上げる」としました。
日本原電によりますと、原子炉内の圧力を下げる大型機器の解体に着手できていないことが原因で、請け負い業者が経営的な問題から工事を受注できない状態だということです。
日本原電はすでに新たな業者を選定しましたが、手つかずの大型機器を完全に解体するまでには7年を要する見通しです。これにより全体の廃炉完了時期も当初の2040年から2047年に後ろ倒しとなります。
日本原電の報告に対し県の坂本防災安全部長は「工程が突如変更されることは県民に不安を与えかねない」とし、さらなる工程変更が生じないよう厳しく注文を付けました。
請負業者の受注辞退による工事の遅れから、廃炉完了が7年も遅れるということですが、原電はこの問題を2023年には把握していました。報告が遅れた理由については「対策を検討していたから」としています。
一方で、廃炉完了までにはもう一つの懸案事項があります。それは、使用済み核燃料が計画通り運び出せるのかどうかということです。
敦賀1号機の使用済み核燃料は、廃炉作業を進めるために一旦、2号機に移送して一時保管してから県外搬出する計画でしたが、この移送がストップしていることも19日に明らかになりました。その理由は、最終的な搬出先となる青森県の最終処分場の完成が延期を繰り返しているため2号機の使用済み核燃料を搬出できず、十分なスペースが確保できないことにあります。
今回、新たに示された2047年度までの廃炉が順調に進むのか、注視していく必要があります。