いま、警察官を名乗り現金をだまし取ろうとする詐欺電話が相次いでる。
犯人とのやりとりを収めた録音データと、貴重な証言から手口の共通点が見えてきた。
「こちらが調書作成する際は一問一答制になります」(犯人)
「一問一答?」(40代の男性)
4月、北海道登別市に住む40代の男性の携帯に掛かってきた電話。
相手は、警視庁捜査2課の刑事を名乗る男だった。
クレジットカードの口座が悪用されて、犯罪に加担していると迫ってきたのだ。
「移送されて、東京警視庁の方で事情聴取する形になります」(犯人)
不安をあおるように事情聴取という言葉を持ちだす男。
しかし。
「第一印象は何か怪しいという胡散臭さはあった」(40代の男性)

男性は詐欺だと見抜いていた。
「人様を騙して、お金をぶんどっていって、ふざけているなと思ったらちょっとやっつけてやろうと思っての行動だったので」(40代の男性)
男性が動く。
電話をつないだまま、警察署に向かい、本物の警察官のそばでニセ警察官とのやりとりを録音し始めたのだ。

「今から携帯電話に対して信号検査、こちらを行います」(犯人)
「ん?何検査ですか?」(40代の男性)
「信号検査」(犯人)
「信号検査?はい」(40代の男性)
「目的は犯行グループとの間に通話履歴があったかどうかの確認と会話の音声データを取るためです」(犯人)
録音から15分後、男性が切り出した。
「ちょっと代わりますのでよろしいですか?」(40代の男性)
「あーよろしいですよ」(犯人)
「もしもし」(警察官)
本物の警察官が出ると、ニセ警察官は電話を切った。
「不安とか落胆する気持ちがかなり大きい」(31万円をだまし取られた新社会人の20代の男性)
一方、北海道北見市では、新社会人の男性が被害に遭うケースが。
男性は4月、岐阜県警の警察官を名乗る男から「キャッシュカードが詐欺事件で使われている」などと電話で迫られ、口座の全財産31万円をだまし取られてしまった。

「かなり焦っていた。パニック状態だったので。『これからどうしよう』みたいな絶望感だったり不安」 (20代の男性)
相次ぐニセ警察官の詐欺電話では、手口に共通点がある。
◆ビデオ通話の使用
「LINEのビデオ通話って機能ありますよね?」(犯人)
「はい」(40代の男性)
「そちらの機能を使いまして、簡単にご挨拶と本人確認をさせていただきます」(犯人)
「警察手帳の方を見せてから調書を取るんで」(犯人)
「はい」(40代の男性)
「これ一応警察のルールなんですよ」(犯人)
ビデオ通話で警察手帳などを出し、信用させようとするのだ。
北海道北見市のケースでは、新入社員の男性はそれを信じてしまったのだ。
「30代後半くらいのちょっとまるっとした形の人がスーツを着ていて、これ警察手帳になりますという形で見せられた。そこで信じてしまった」(20代の男性)
一方、「+」から始まる電話番号にも要注意。
これは海外からの着信を意味している。
「知らない番号からの電話には、出ないようにしましょうというのが教訓かなと思う」(20代の男性)
「身近で起きたので明日は我が身ではないが、自分にいつ降りかかってもおかしくないような感じでいたほうがいいのではないかなと今回感じた」(40代男性)
