5月15日、福島県福島市の中心部などにクマが姿を現した。目撃されたのはJR福島駅の西側で、午前中に3件相次いで目撃情報が寄せられた。なぜクマが街の中に?今後も注意が必要だ。
体長1メートルほど
JR福島駅から1.5キロほどの中心部にある、福島市南中央4丁目。この場所の近くに姿を現したのが体長1メートルほどのクマだ。

目撃した人は「茂みの境目から出てきて、こっち側に気付いて、クマが逃げていったような感じ。刺激しないように遠くから見守っていました」と話す。
同じクマ?相次ぐ目撃
福島市内では、5月15日午前6時ごろから午前11時半までに相次いでクマが目撃された。追い払いを続け、その後姿を見失ったという。場所が近いことから、同一の個体である可能性があるという
メスを探して街中へ?
山にいるはずのクマが、なぜ街の中心部に?専門家への取材でいくつかの可能性が浮かび上がってきた。
クマの生態に詳しい福島大学食農学類の望月翔太准教授は「今回のケースでいえば、河川沿いをつたってクマが中央部まで出てきてしまっている状況。若いクマは、かなり長距離を移動して、これから交尾期に入るので、その準備をするような形」

「“メス探し”として、広い範囲を行動することがわかっている。おそらく今回も、その過程でこれまで行ったことがないような場所まで、河川敷をつたって市街地方面まで出てきてしまったのではないか。特殊なケースではなく、これからも十分起こりうるケースだと考えている」と語る。

クマはどこへ 警戒続く
一夜明け、16日は朝から警戒を続けた福島市。住民たちは「人里にクマがおりてこないことだけをお願いしたい」「子どもたちの安全を確保できれば」と話すように不安を感じていた。
これまでのところ、新たなクマの目撃情報は寄せられていないが、福島市が引き続き注意を呼びかけている。

クマに対する心構え
望月准教授によると、私たちだけでなく多くのクマは基本的に人を怖がっているという。そのため、山に入る時だけでなく、散歩などで河川敷に行く時などもクマ鈴やラジオで、人の存在を知らせることが重要だという。特に人への被害が集中する朝早い時間は、より注意が必要だ。

また今年は、確実に子連れのクマが多いそうだ。福島県内では2024年秋にブナなどの木が多く実をつけエサが豊富だったため、子どもを産めたクマが多かったという。子を守ろうと母親が攻撃的になる可能性があるため、子連れの出没情報が入ったら注意レベルを一段階あげる必要があると望月准教授は呼びかけている。
(福島テレビ)