山ではクマとの遭遇、そして、あらゆる事故の危険も潜んでいる。福島県では、2025年は5月14日までに24件の山岳事故が発生している。大型連休中には、檜枝岐村の駒ヶ岳で50代の男性が下山中に滑落し死亡した。2024年の同時期と比べ、7人増加していて、亡くなった人は8人に上る。
春山ならではの危険
約20年、登山ガイドをつとめる「はれがさやガイド本舗」の渡邊亮さんは、春山ならではの危険があると指摘する。

「山開きがあると、「大丈夫だ・安全だ」と思う方いらっしゃる。実は意外とそうでもない年もある。今年は雪が多く残っているので、そうなってくると滑落の危険性とかも出てきます」と渡邊さんはいう。
アイゼンの備えも大切
雪が残る景色が魅力の一つでもある春の山。しかし雪で足を滑らせ、転倒・滑落するケースが多くあるという。雪の上を歩く際は、滑り止めの「アイゼン」などの装備が有効になる。

「歩幅を小さめにして、足裏全体でアイゼンのツメをしっかりきかせながら歩く。下山をする際は、真下に足を踏み込むように。踏み場を確かめながら下ることが大切」と渡邊さんはアドバイスする。

また渡邊さんは「山開きというスタートにとらわれず、雪しっかり溶けるまで待とうかなと、余裕をもって楽しんでいただければ」と呼びかけた。
十分な装備を 専門店がアドバイス
登山では、十分な装備を整えることが事故を防ぐことにもつながる。
郡山市大槻町にある登山用品を扱う「WILD-1郡山店」では、さきほど紹介した「アイゼン」も、今のシーズンは軽量でコンパクトなサイズが売れているという。

春山は気温の変化に注意
さらに、春山で気を付けたいのが「気温の変化」。標高が100メートル上がると0.6~1℃下がると言われていて、汗で体が冷えないように吸水性・速乾性のあるウェアや下着などを身に着けることをすすめている。

店長の曳地弘成さんは「体が濡れているとすごく寒く感じますので、その辺の対策はしっかりされた方が良いかなと思う」と話す。
また、雨や風など急激な天候の変化にも備えて、体温の低下を防ぐ防寒シートも備えておくことを薦めている。

曳地さんは「頂上を目指すだけではなく、この季節、登山道を歩いているだけでもたくさんの花が咲いていたり、新緑がきれいだったりするので、自分の体力とか、天候が安心できるようでしたら山頂を目指すという形で良いのかなとは思う」とアドバイスする。

安全に山登りをするためにも、携帯電話や食料などの装備はもちろん、事前に天候などを確認すること。そして、登山届を出して山に入ることを忘れずに。
(福島テレビ)