石川県金沢市でも屈指の観光地・ひがし茶屋街から徒歩2分の場所に新たな食の店が開業した。オープンしたのは「金沢おみそしる倶楽部」。店主は東京出身の20代の女性だ。利尻昆布や本枯れ節を使用したこだわりの出汁に、金沢のお味噌をつかった心にも体にもしみるお味噌汁が主役の店。いったいどのような店なのか、密着した。

金沢の観光名所『ひがし茶屋街』近くにオープンした「味噌汁の店」

伝統的な町家を改装した店内にはL字カウンターが施され、1枚板のテーブルやアンティークの椅子が並ぶなど、古さの中にも新しさを感じる繊細な造りとなっている。

東山にオープンした店
東山にオープンした店
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だしとみそのの香りがする“お味噌汁”が主役の店

厨房から漂うのは魚介の出汁と香ばしい味噌の香り。店名は”金沢おみそしる倶楽部”。

石川県内では珍しい”お味噌汁が主役”の店なのだ。

店内の様子
店内の様子

東京都出身の28歳の女性が挑む

この店を開いたのは橋本佳奈さん(28)。

元々は東京出身で金沢には縁もゆかりもなかったという。なぜこの街での開業を決意したのだろうか。

自慢のお味噌汁
自慢のお味噌汁

橋本佳奈さんは、「元々東京出身ですが、農業や食分野に興味を持ってOLを辞め、熊本県に移住して3年間過ごしていました。その時に縁があって味噌汁のお店を間借り営業していた経験があって。そのあと転職で金沢に来て、この街にほれ込んでしまって。またここで味噌汁のお店をやりたいって直感で思ったんです。」と店を開いた理由を話してくれた。

こだわりの“昆布”と“味噌”

オーナーとして店を経営するのは始めてだという橋本さん。連日開業準備に奔走する中、提供する味噌汁のこだわりを教えてもらった。

橋本佳奈さんによると、昆布は北海道の利尻昆布、鰹節は鹿児島県指宿の本枯れ節を使っているという。この二つでとっただしに合わせる味噌は、金沢市東山で190年近く営業している高木糀商店の米味噌だ。(高木の高いはハシゴ高)

橋本さん
橋本さん

味噌汁の具材は日々変わるが、その選び方にもこだわりがあるそうだ。

橋本さんは、具材はできるだけ生産者や売っている人の顔が見えるところから仕入れたいのだという。金沢には近江町市場や野菜の直売所もある事から、鮮度がいいものが手に入りやすいそうだ。

こだわりの味噌と昆布
こだわりの味噌と昆布

旬のタケノコを使ったみそ汁に金沢名物“めった汁”

試作品づくりに立ち合った記者が味わったのは旬のタケノコを使った味噌汁や、豚汁の金沢での呼び方”めった汁”を橋本さんなりにカスタムしたもののほか、鰆のアラを使った味噌汁など創造性にあふれる味噌汁を存分に堪能させてもらった。

橋本さん
橋本さん

味噌汁は常時2種類用意し、『ぐだく』は具沢山のお味噌汁でごはんとの相性が抜群。『だし』は具材よりもだしをしっかりと味わいたい派におすすめだそうだ。

橋本さん
橋本さん

味噌の風味を飛ばさないよう溶くのは注文後

調理方法にも店主のこだわりがある。味噌汁の命といえる味噌を溶くのは注文が入ってから。

事前に具材を煮込んだだし汁を、別の鍋に移し替えてから味噌を溶くことで味噌の風味や香ばしさを楽しんでもらいたいという気持ちからだ。

東山の神社で
東山の神社で

開店前日。橋本さんの姿は店から徒歩1分の宇多須神社にあった。お賽銭を投げ入れ、柏手を打ち、手を合わせる。

橋本さんに何をお願いしたのか聞くと…「まずはこの土地に「よろしくお願いいたします」と。「東山にお世話になります」っていうご挨拶をしました。

午前7時半の開店に合わせ続々と客が…

5月8日の開店初日。午前7時半からの営業に合わせてさっそくお客さんがやってきた。

店では午前11時までは朝食メニューを提供し、その後はランチメニューに切り替わる。朝食メニューは”卵かけごはん定食””焼き魚定食””大粒納豆定食””おにぎりセット”が並び、最初の女性客はおにぎりセットをオーダー。

選んだ味噌汁はこの日の”だし”。地元名産の加賀レンコンをすりおろした団子がたっぷり入ったものだ。”最初の一杯”を仕上げた橋本さんは自ら配膳。

客:
いただきます。

客がお椀を口に運ぶ。湯気の向こうではにかむ表情が見えた。

客:
おいしい。(味が)しみてる。

それまで緊張していた橋本さんの表情が和らぐ。
その後も続々とやってくるお客さんの中には金沢で知り合った人もいれば熊本時代を知る人の姿も。

カウンター越しに咲く会話の花

客と会話する橋本さん
客と会話する橋本さん

カウンター越しやテーブルでの来店客との会話に花が咲く。好きな味噌汁の話もあれば、金沢のおすすめスポットの話題など多岐にわたる。

橋本さんは、「味噌汁は飲むだけでほっと、家に帰った気分になる。包み込んでくれるような食べ物だと思うんです。「金沢おみそしる倶楽部」って店名ですけど。ただのお店ではなく、お味噌汁を通じて人と人が通じる場所に、たくさん来てもらって笑顔があふれる店にしたいです。」と目を輝かせていた。

自慢のメニュー
自慢のメニュー

今回密着した店は「金沢おみそしる倶楽部」
住所:石川県金沢市東山2-6-2-2
営業時間:午前7時30分~午後3時
定休日:火曜・第2、第4水曜

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店の看板
店の看板

(石川テレビ)

石川テレビ
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