米沢牛の産地として知られる山形・米沢市と飯豊町が、環境省が公募する「脱炭素先行地域」の採択を受けることになった。県内では初の事例で、今後、ウシのふんを活用したバイオガス発電施設の導入などに取り組む。

ウシのふん利用した発電・肥料生産に50億円
環境省は、二酸化炭素の削減に向けた取り組みを積極的に推進する「脱炭素先行地域」を選定している。
今回新たに全国で7つの地域が選ばれ、このうち米沢市と飯豊町が共同で提案していた計画が、県内で初めて採択された。
これを受け、5月9日、米沢市の近藤市長と飯豊町の嵐町長が共同会見を開いた。

計画では、米沢牛を生産する過程で出るウシのふんを活用したバイオガス発電設備の導入と、発電の過程で発する余剰熱を使って液体の肥料を乾燥させたペレット肥料の生産などを行うとしている。

事業期間は2025年度から6年間、総事業費は約122億円で、このうち50億円が国から交付される。

地域内での資源循環モデルの構築などに期待
米沢市・近藤洋介市長が「米沢牛という一つのテーマで連携をした。それが広域連携の可能性を持っていると評価されたと自負している」と話せば、飯豊町・嵐正人町長も「米沢市と連携しながら、置賜モデルとして胸を張って全国に出せるような仕組みになるように頑張っていきたい」と語っていた。

2市町の連携による米沢牛のふんを利用した計画は、地域内での資源循環モデルの構築や農業振興・地域資源を活用した安価な電力の供給につながるとして期待される。
事業の核となるバイオガス発電施設は、飯豊町で2年後、米沢市で3年後に着工する計画で、今後、候補地の選定などを進めていくとしている。

<補足/環境省サイトより>
脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域で、「実行の脱炭素ドミノ」のモデルとなる。
今回、共同提案を含め日本全国の35の地方公共団体から15件の計画提案が提出され、そのうち7提案(6県10市町)が選定された。その1つが米沢市・飯豊町の提案。
(さくらんぼテレビ)