相次ぐ警察官や検察官をかたる特殊詐欺事件。福井県内では3月以降、相次いで70代の女性2人が被害にあった。その額、800万円と900万円。いずれも通信業者を名乗る者からの電話をきっかけに、最終的には現金を紙袋に入れて自宅の外に置き、持ち去られるという手口だった。
「紙幣番号や指紋を調べる必要がある」
「あなた名義で契約されている携帯電話番号は、暴力団が使用しているので使えなくなる」
きっかけは、通信事業者から自宅にかかってきたこの電話だった。坂井市の70代女性の元には、その後も携帯電話や固定電話に警察官や検察官を名乗る者から「あなたも犯罪者だから逮捕状が出ている」「お金を引き出してもらい紙幣番号や指紋を調べる必要がある」と連絡が入った。女性は指示に従って金融機関のATMから現金800万円を引き出し、紙袋に入れて自宅敷地内に置いておいたところ持ち去られた。
その後、女性は着信があった番号に電話をかけてもつながらないことを不審に思い、親族に相談。被害が発覚した。

「お金を引き出して私に預けて」
「契約している電話が使えなくなる」
NTTの職員を名乗る男から携帯電話に連絡があったのは、鯖江市内に住む70代女性。そのまま電話口で警視庁の警察官を名乗る男に代わると、LINEでの通話に誘導されたという。

その後、警察官や検察官を名乗る男とのLINE通話で「詐欺の容疑で逮捕した者の所持品からカードが押収され、その中の1枚があなた名義のものだった」「あなたが事件の容疑者になっている。このままではあなたの口座がすべて凍結されてしまう」と脅された。「凍結される前にお金を引き出して私に預けてください」といわれた女性は、定期預金を解約するなどして口座から900万円を引き出した。

さらに口座振り込みを指示
男らは「管財人がお金を取りに行く。ビデオ通話でお金を置く場所を決めましょう」と持ち掛け、自宅の外にあるガスボンベの裏に現金を置いておくよう指示。女性は指示通り現金900万円を紙袋に入れ、指定の場所に置いておいたところ、持ち去られた。
その後も、指定口座への振り込みを求められた。女性が金融機関で現金を引き出そうとしたところ、不審に思った職員が警察に相談し、ようやく被害が発覚した。

警察や検察が「あなたが逮捕される」と連絡することや、お金を求めることはない。警察は、このような事案があった場合は、電話を切って最寄りの警察に相談してほしいと注意を呼び掛けている。
