ちょっとした不注意から起きてしまうカギのトラブル。紛失や暗証番号忘れなど、依頼はさまざまだ。
「中には通帳から権利書から実印と…」
福岡市東区にある『カギの救急車 松原店』。特にこの時期は、新生活に慣れていない人が多いためカギを巡るトラブルも多いという。

この日も朝から電話が入ってきた。「暗証番号は分かるけど、カギがなくて…」。依頼は金庫の解錠作業だ。『カギの救急車』の松浦和博さんが、早速、現場に駆け付ける。
目の前に置かれた金庫。カギはあるのだが、そのカギを金庫の中に入れて扉を閉めたため、開かなくなった状態なのだ。『インロック』と呼ばれているという。

「金庫の中には通帳から、権利書から、実印が…」と困惑顔の依頼者。普段は開けっ放しにしている金庫なのだが、1年振りに家を訪れた2歳の孫が、金庫のカギを中に入れたまま閉めてしまったという。

暗証番号を入力すれば開けることもできるタイプの金庫だが、電池切れで開けられなくなっていた。

「カギの形状としては難易度高めです」と松浦さん。防犯性が高い金庫。そのため解錠には時間がかかることが多く、最悪の場合壊してしまうこともあるというのだ。

作業開始から約5分後。「開きました」と松浦さん。「時間がかかると思っていたけど、さすがプロですね」とその声に依頼者も安堵したようすだった。
金庫の中に入っていたカギも見つかり一安心。今後は、孫が来たときもカギの管理をしっかりすると依頼者は話していた。
バイクのカギも離れ業で作製
続いての依頼。バイクのカギをなくしたので作って欲しいという案件だという。松浦さんは現場に急ぐ。

そこには1台のスクーターがポツンと置かれていた。「ツーリングに行って、カギを落としまして…」と肩も落とす依頼者。ツーリングに使ったのは大型バイクだったが、そのときに家のカギを含む全てのカギを落としてしまったという。

スクーターのカギは、対応可能だということで依頼したとのことなのだが、元のカギがない状態から作製は可能なのか? 松浦さんは「メーカーによって異なるんですけど、カギの種類が数種類あるので、まずはこのバイクにあうカギを探します」と作業に取りかかった。

タイプを割り出し、そこからカギを作り出すという離れ業。カギ穴を覗き込み、これまでの経験から形を推測。迅速にカギを作っていく。
そして、完成したカギを差してみるとエンジンがかかる音が響いた。ほっとした表情の依頼者。「こうやって、さっと作ってもらえるだけで本当に助かります」と満足顔だ。
作業1時間 諦めかけていたその時
続いて向かったのは福岡市内の事務所。「電子錠の暗証番号を忘れて開かないという依頼です。カードキーで開け閉めもできるんですけど、それも中に閉じ込めたインロック状態」。

依頼者は「パソコンから何から、免許証まで全部ドアの向こうに入っているので、一切、仕事にならない」と困惑顔だ。

ドア下のすき間から小型カメラを入れて電子錠の内側の形を確認する松浦さん。「ボタンを押せば開くと思いますので、ここでボタンを押したいなというイメージです」と解説する。

特殊な工具をドア下のすき間から入れ作業するが、長さが届かない。道具の長さが足りずボタンを押すことができないのだ。別の道具を取り出し再度、挑戦。ガチャガチャと作業開始から30分ほど経つが、思うようにならないためさらに2台の小型カメラを追加し作業を進める。

そして、約1時間が経過…。諦めかけていたその時!開錠音が響いた。「お待たせしました」と松浦さん。無事開けることに成功した。「よかった!」と依頼者。忘れてしまっていた暗証番号も再設定。これでどうなっても安心だ。
ちょっとした不注意で起きてしまうカギのトラブル。カギ業者はきょうも依頼者の元へ駆け付ける。
(テレビ西日本)