■昨シーズンを上回った価値ある39勝21敗

5月3日・4日にウィングアリーナ刈谷で「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25シーズン」のB1リーグ第36節が開催され、シーホース三河は名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦。GAME1は87-84で勝利、GAME2は80-85で敗戦し、白熱の愛知ダービーを1勝1敗で終えた。

目標とする地区優勝は叶わなかったが、三河は昨シーズンの36勝24敗を上回る39勝21敗でレギュラーシーズンをフィニッシュし、5月9日から始まるチャンピオンシップ(以下CS)にワイルドカード下位で進出決定。クォーターファイナルで全体勝率1位の宇都宮ブレックスと対戦することになった。

宇都宮について、ライアン・リッチマンHCは「非常にタレント性のあるチーム」と分析する。
「リーグでもフィジカルやサイズは随一です。常に大事なことですが、宇都宮戦ではさらにリバウンドが重要になってくるでしょう。オフェンスでは、相手のフィジカルなディフェンスに対してどのように対応するか。良いゲームになると思っていますし、そのための準備をしていきたいと思います」

シーズン中、HCのケビン・ブラスウェルさんが病気で亡くなるという悲しみを乗り越えた宇都宮。48勝12敗のリーグ最高成績を残し、CSにも並々ならぬ思いで挑んでくるだろう。さらに2020-21シーズンから数えて宇都宮戦は9連敗中で、決して相性の良い相手とも言えない。しかし、CSとシーズンはまったくの別物。昨シーズン、ワイルドカードでの進出から勢いに乗って優勝した広島の例もある。
「プレーオフになった瞬間からレギュラーシーズンの成績は関係ありません。ここから6勝したチームが優勝です。自分たちのベストバージョンを出します。自分たちのアイデンティティをしっかりとプレーで表現すること、そして相手の強みを消していくような準備をしたいと思います」とリッチマンHCは誓った。


■選手の主体性が目立つようになった三河

リッチマン体制2年目となり、シーズンの勝率が向上した結果からもわかるように、三河は確実に成長している。チームが持つオプションも増えた。例えば、4月9日のSR渋谷戦。CS出場を争うライバルとの重要なゲームで、4Qに久保田義章と長野誠史を投入し、ツーガードでスピードのミスマッチを突いて大逆転を決めた。
徹底的にミスマッチを攻め続けたのは、どうやらコートに立っていた選手たちの判断のよう。久保田は「あれは長野さんの判断で、最後に僕が得点したときに『ほら言ったやろ』って。(新体制になって)2年目ですし、みんなやることはわかっています。あとはスタッフが用意してきたプランを、自分たちがコート上でコミュニケーションを図りながらどうやっていくか。相手の動きに対してゲームの中で対応していく。それができればもっと良くなる。シーズン中、少しずつそうした成長が見られるようになりました」と話す。

名古屋D戦でも相手のプレスに苦しむ中、タイムアウトの際に久保田がボードを持って指示していた。こうした選手主体の背景について、西田優大は「須田さんの存在が大きい」と打ち明ける。
「須田さんは選手を集めて発信します。それに感化されるじゃないですけど、選手同士で話し合う時間が増えたし、結束も信頼も強くなったと思います。(選手の判断を)ライアンも尊重してくれています。そういう意味で、今シーズンは須田さんの存在が大きかったんじゃないかなって思います」

西田優大は「本当に良いチームになりました」と話す。ただしプロチームである以上、まったく同じメンバーで次のシーズンも戦う可能性はほぼない。だからこそ、1日でも長くこのメンバーでバスケをするために「勝たせたい」と決意する。
「去年から大幅にメンバーが変わっていなくて、コートだけでなくオフコートでも本当に仲が良いチームです。そこに須田さんが入ってくれたおかげで、言いたいことも言い合える関係になりました。ときには言いたくないこと、言われたくないことを言う場面があったかもしれません。それを周りは受け止めてくれて、僕も受け止めてきたし、シーズンが進むにつれて本当に良いチームになったと感じていて…。だからこそ、去年よりも勝ちたい思いが強いです」

西田優大は続けて、ファンに向けて「今シーズン、アウェイにもたくさんの足を運んでくれて、本当に背中を押してもらえました」と感謝も述べた。大多数のBリーグファンからすると、主役は苦難を乗り越えてCSに進んだ宇都宮になるだろう。三河にとっては、熱狂的なファンが待つアウェイ戦で、不利なデータも並んでいる。それでも応援してくれるファン、そしてチームのために「(雰囲気に)のまれたくない。このチームを勝たせたい」と西田優大。決して筋書き通りにはさせない。三河の挑戦がいよいよ始まる。

東海テレビ
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