福井市内の小さな集落で5日行われた子どもたちが主役の伝統の「花山行事」、子供たちの元気な掛け声が地域に響きました。
田島嘉晃アナウンサー:
「福井市栃泉町です。白い法被にはちまきに、つつじのピンク、元気なこどもたちの声が響いています」
子どもたちがツツジの花で飾った竹をやりに見立てて練り歩く『花山行事』。子どもの成長を喜び、端午の節句にあわせて行われる伝統行事で、県の無形民俗文化財に指定されています。
花山行事の起源は約750年前にさかのぼるといいます。花山行事保存会の中出博明会長は「やりに見立てた花を花山というが、平家の落ち武者がやりを持って歩く代わりに花山を持って村を一周していたそう。昔の武士の心を忘れないように歩いたと聞いている」と、その起源を話してくれました。
33人の子どもたちが練り歩くのは約2キロの道のりです。
「はなやーま、ごんげーん!」
地域の人達は「自分がこどもの時にやっていたこと同じ。子も孫も花山行事に参加している。この伝統だけはなくしてはいけない」と目を細めながら話していました。
少子化の影響で、2024年からは隣り町の子どもたちにも参加を呼び掛け、伝統の輪は少しずつ地域の外へと広がっています。
行事の最後は、神社の前で”花山”を 地面に叩きつけて壊し、御神木に健康など願いを込めます。
参加した子供たちは「あまり疲れなかった。みんなが私が声を出した後に続いてくれたのはうれしかった。来年の子もしっかり受け継いでくれるように頑張った」と元気いっぱいです。
中出会長は「5月5日なので男の子の祭だった。40年ほど前から子供が少なくなってきて、女の子も入れるようになってきた。町内にはこどもが19人しかいない。日本中で少子化が進んでいるので、どうやって祭そのものを子供に伝えるのか。もう少し 地域を広げるしかないかな」と話します。
形を変えながら受け継がれる花山行事は、今年もふるさと伝統の声が響きました。