中国・上海で、「上海モーターショー」が開催され、空飛ぶクルマが公開された。来年、量産開始予定で約4000台が受注済みだという。
中国政府の後押しで市場は2030年に60兆円超へ拡大する見込みだ。
完全無人で自動運転…実用化進む空飛ぶクルマ
中国で実用化に向けて、「空飛ぶクルマ」の開発が急ピッチで進んでいる。

日常に溶け込んだドローンによるフードデリバリーなど、飛行機より低い高度を利用して人やモノを運ぶ「低空経済」への投資が中国で加熱している。その最前線を取材した。

現在、中国・上海で「上海モーターショー」が開催されている。100以上の新しいEV(電気自動車)などが披露される中、中国メーカーが今、アピールに力を入れているのが「空飛ぶクルマ」だ。

展示されているクルマは、ヘリコプターのような形のタイプや、乗用車の上にコックピットが乗ったものまで、その形は様々だ。
実用化はまだまだ先の未来の話と思いきや、メーカーの担当者は次のように話す。

シャオペン・空飛ぶクルマ担当者:
私たちの空飛ぶ車は、世界初の量産型になります。

こちらの新興EVメーカーが開発する空飛ぶクルマは、すでに4000台の注文を受け付け、来年には量産が始まるという。想定価格は4000万円以下で、個人でも購入が可能だ。

日本のトヨタ自動車と現地で合弁パートナーを組む広州汽車も、開発の先頭を走る企業の一つだ。
FNN北京支局・葛西友久記者:
こちら1人乗りでだいぶ広い空間となっていますね。ハンドルや、ペダルなどが何もないんですね。目の前にあるのは、このタッチパネルだけです。

操縦席もない、この空飛ぶクルマはどこまで開発が進んでいるのか?
特別に飛行実験の取材が許された。
FNN北京支局・葛西友久記者:
今プロペラが回り始めました。ゆっくりと垂直に上がっていくのが分かります。少し旋回していますね。まっすぐ進んでいきます。

このクルマは、4年前に開発がスタートし、完全無人の自動運転を実現。1000回以上の試験運行を重ねてきた。

最大の特徴は車と一体型のデザインだ。地上も走行可能で、コックピットのみが分離し、飛ぶことができる。

最大20km飛行可能で、渋滞に巻き込まれても飛んでいけるなど、都市での利便性を向上させるとしている。

広州汽車では、今年中に「空飛ぶクルマ」の販売予約を受け付け、来年には生産を開始するとしている。
ドローンのフードデリバリー拡大
中国政府は高度1000m以下の低い空域で配達や輸送などを行う経済活動を「低空経済」として後押ししていて、空飛ぶクルマやドローンの開発に官民挙げて、力を入れている。

路上に設置された機械は、ドローンによるフードデリバリーの自動販売機だ。
FNN北京支局・葛西友久記者:
ケンタッキーフライドチキンや元気寿司、ほかにもカフェなどのお店が書かれていて、ここから注文ができるそうです。

注文したのは傾いたらこぼれてしまう、「汁物」のスープビーフンだ。待つこと30分。

FNN北京支局・葛西友久記者:
あれかな?ドローンが1機飛んできましたね。ドローンの音がしてきました。
注文した商品が、ドローンによって宅配ボックスまで運ばれてきた。

FNN北京支局・葛西友久記者:
出てきました。
心配された、スープのこぼれもない。

FNN北京支局・葛西友久記者:
注文してから30分以内に届いて、食べることができます。
このサービスによる配達は、2024年末ですでに40万件を超え、市民の日常の一部となっている。
市民:
とても良いと思います。配達員だと遅れることもあったけど、これはわりとスピーディーに感じるから。

中国の「低空経済」の市場規模は2025年、日本円で約20兆円前後に達し、2030年には60兆円を超えるという試算もある。
米中の関税戦争に終わりが見えない中、最先端の技術を駆使し、新たな成長エンジンとなるのか注目される。
(「イット!」4月30日放送より)