今年は終戦から80年です。戦争を体験した人々にしかわからない「戦争のむごさ」と「平和の大切さ」を次世代に伝えることが求められています。そんな中、富山大空襲を体験した一人の男性とその孫である高校生が、過去の記憶を未来へつなぐための活動を続けています。

高校生たちの取り組み

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4月3日、高岡市内に高校生たちが集まりました。「輪音」というグループを結成し、戦争の記憶を継承する活動に取り組んでいます。県内4つの高校に通う2・3年生9人が、富山大空襲の戦跡を巡るツアーの開催を検討しています。

「輪音」のメンバーである西田七虹さん(富山国際大学付属高校2年)は、自分が住む地域で80年前に何があったのかを知ってもらいたいと考えています。七虹さんは「実際に体験された方が少なくなっているので、忘れてはいけないという思いが強い」と語ります。

祖父の記憶をたどる

七虹さんは、母親の亜希代さんと共に、富山市で暮らす祖父の進さんを訪ねました。進さんは89歳(取材当時)で、10歳の時に富山大空襲を体験しました。進さんは「松川べりで焼夷弾が落ちて欠けた灯籠がある場所を見た方がいい」とアドバイスをくれました。

1945年8月2日未明、アメリカ軍の爆撃機「B29」174機が富山市上空に現れ、50万発を超える焼夷弾を投下しました。2時間に及ぶ爆撃で、中心市街地は焼け野原となり、2700人を超える命が奪われました。当時10歳だった進さんは、兄と共に命からがら川へ飛び込みました。

記憶を未来へ

七虹さんは、進さんから聞いた話をもとに、今年7月に「輪音」のメンバーと共に富山市街地の戦跡を巡るツアーを開催することにしました。「本当にここであったことを自分の肌で実感するために、その場所を巡って説明できたらいい」と七虹さんは語ります。

未来へのメッセージ

後日、富山市内に花見に訪れた進さんは「この時期に花見ができるのは当たり前だが、この当たり前が一番幸せなんでしょう。当たり前が続くようにしないといけない」と語りました。平和の大切さを孫に伝え続けていきます。

七虹さんが企画する富山大空襲の戦跡めぐりは、小学生の親子が対象です。今後、情報は「輪音」のインスタグラムやXで発信される予定です。

富山テレビ
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