鹿児島市の地下で、巨大な「シールドマシン」による工事が静かに、しかし着実に進んでいる。「鹿児島東西道路」という新しい都市の大動脈を作り出すために、昼夜を問わず働き続けているのだ。2025年4月、鹿児島市長らが工事の進捗状況を確認した。

地下1.2kmを1年5カ月で進む驚異の技術  

巨大プロジェクト・鹿児島東西道路は、鹿児島市田上の九州自動車道鹿児島インターから鹿児島市上之園町の甲南高校近くまでを結ぶ全長3.4kmの道路を建設するものだ。そのうち2.3kmが地下トンネルとなる予定で、直径約11m、総重量約1400tという巨大なシールドマシンが地下のトンネルを掘り進めている。シールドマシンは、2023年11月に中洲通りの地下から動き始め、現在は約1.2km離れた武岡トンネルの地下まで到達している。

全長3.4kmの道路のうち、2.3kmが地下トンネルとなる予定
全長3.4kmの道路のうち、2.3kmが地下トンネルとなる予定
この記事の画像(9枚)

トンネル内部、卵型の未来図 

2025年4月22日、鹿児島東西道路の建設促進期成会が現場を視察した。鹿児島市・下鶴隆央市長をはじめとする視察団は、既に掘削された部分のトンネル内部を歩いて確認した。その様子は、まるで巨大な卵の中を歩いているかのように見えた。

南北幹線道路建設促進期成会が視察
南北幹線道路建設促進期成会が視察
トンネル内部は、巨大な卵の中のようだ
トンネル内部は、巨大な卵の中のようだ

鹿児島国道事務所の発表によると、4月21日時点でトンネルの掘削は計画全体の52.5%、距離にして1218mが完了しているという。

2025年の貫通を目指して 

トンネルは、2025年の夏から秋までに貫通する見通しだが、鹿児島東西道路の完全な完成にはさらに数年を要する見込みだ。具体的な完成時期はまだ明らかにされていない。

鹿児島国道事務所の瀬戸祐介事務所長は、今後の課題について「シールドマシンは市街地を抜けて、山岳部の掘進を進めていくことになる。今後は調整池の下を通過するなど、新たな課題もあるので慎重に進めていきたい」と語る。

今後の課題について語る、鹿児島国道事務所の瀬戸祐介事務所長
今後の課題について語る、鹿児島国道事務所の瀬戸祐介事務所長

地域の期待と課題

九州自動車道と鹿児島市街地を直接結ぶ鹿児島東西道路は、交通渋滞の緩和や物流の効率化、さらには観光客のアクセス改善にも貢献すると期待されている。

地下深くで進む巨大マシンの歩みとともに、鹿児島の新しい時代が静かに、しかし確実に近づいている。

(鹿児島テレビ)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(9枚)
鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。