14年前に交通事故で長男を亡くした大野市の女性がマスコットを作り、22日、地元の交通安全団体などに贈りました。「無事帰る」の思いを込めたカエルのマスコットで交通安全を願います。
マスコットを作ったのは大野市南新在家の坪尾豊美さん(59)です。22日は大野警察署で寄贈式が行われ、市内で交通安全活動に取り組む会の土本正道会長に100個のマスコットを手渡しました。
この「カエル」のマスコットは外出先から無事に「帰る」ことを願い、坪尾さんが一つ一つ毛糸で編みました。
坪尾さんの長男は、2011年4月に進学先の大学がある愛知県内で、友人の車の後部座席に乗っていた際に事故にあい、シートベルトを着けていなかったため車外に放り出されて亡くなりました。
事故から10年後、坪尾さんは交通安全やシートベルトの着用を呼び掛けようとマスコットを作り始め、5年目を迎えました。
坪尾さんは「事故って本当に突然。元気で行ったはずなのにそこにもういないというのは悲しみでしかない。『車に乗ったらシートベルト』と思ってもらえたら一番いいかなと思って…(マスコットの寄贈を今後も)続けていきたい」と話します。
「シートベルトを装着し、悲しい交通事故を防いでほしい」という坪尾さんの強い願いが込められたマスコットは、大型連休中の啓発活動でドライバーらに配られる予定です。
警察庁とJAF(日本自動車連盟)によると、後部座席のシートベルトの着用率は、福井県は47.4%で、全国平均の45.5%を若干上回っていますが、50%にも達していません。2008年の道路交通法改正により、全席でのシートベルトの着用が義務化されています。